No.317「あれがやってくる!」  2003.5.14

 gifアニメ・・・太陽

 こんな初夏の日は、公園で絵を描きながら日がな一日過ごせたら幸せだろうな・・・

 という事で、いつもの公園での大道芸の稽古の日、時間を早めてスケッチブックを持って出かけることにしました。

ライン

 コチサ

 「こういう日はやっぱりベレー帽だな、あとイーゼルも欲しいところだけど、まぁ無いから仕方ないか。色鉛筆は、赤と青でいいか・・・でもRGBと言われるくらいだから、これに緑を持っていけば、全ての色を表現できるわけだな」

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 平日の昼間ですが、木漏れ日が噴水に反射して作る虹の橋の下を、子供たちがはしゃぎまわりながら駆け回っています。

 子供たちを遊ばせながら、お母さんたちはレジャーマットの上で本を読みながらウトウト、ウトウト・・・

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 コチサ

 「昼下がりの公園。この構図だね。遊ぶ子供たちと船をこぐ母親。よし、これを描こう」

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 イラスト・・・クレヨン

 コチサも特性レジャーマットを背中からおろし、構図を確かめ、陣地取りをします。

 今日の特性レジャーマットは業者さんがイベントで使う、厚手の青い大きなシートなので、重い重い。

 (今までの100円の奴は破けちゃったので、事務所管理の業者さんが車にかけていたシートカバーを借りてきたのです(#^.^#))

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 コチサ

 「絵なんて小学校以来描いた事が無いから、腕が鳴るね」

 コチサ

 「三色ボールペンで読む日本語という本があったけど、コチサは3色色鉛筆で描く、現代風俗画だね」

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 筆は進みませんが口だけは進みます。

 そしてコチサはいつしか、日差しに負けてお母さんたちと同様に、ウトウトと・・・

ライン

 gifアニメ・・・本

 本といえば、コチサが読んだ本に「内なる画家の眼」というのがありました。

 右脳で絵を描く方法論について、書かれていたものだと理解しています。

 その本の内容の詳細は忘れてしまいましたが、鮮烈に覚えている文章に、

 「あれがやってくる」

 というものがありました。

 どうして子供の時から、自然に絵を描ける子と描けない子がいるのかを研究していた作者は、それは「あれがやってくる」か来ないかの違いだと思い当たったのです。

 自身が絵の描ける子供だった作者は、絵を書き始めて集中しだすと、自分の中に「あれ」が宿って、無意識に自然に絵筆が動くようになるのだそうです。

 そして絵が描ける子は、多かれ少なかれこの「あれがやってくる」という表現に賛同や同意を示しますが、絵の描けない子にとってはまさに「?」という言葉だったそうです。

 そこで作者はこの「あれ」を追求して、何とか絵の描けない人にこの「あれがやってくる」感覚を教えようとするのですが・・・

 というような話です。

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 そして今、コチサは思い出しました。
 イラスト・・・スニーカー
 コチサはこの本に賛同し、自分も絵が描けるようになりたいと努力をしたのですが、結局「あれ」がなんだかの経験は出来ずに、コチサには「あれ」は永遠にやってこないと言うことがわかったのでした。

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 コチサ

 「そうだ、コチサは基本的に絵が描けないんだったよ。まいったなぁ、忘れてたよ」

ライン

 師匠

 「あれ?今日は早いんだ。何やってんの?」

 コチサ 

 「あっ、師匠。もうそんな時間?ついウトウトしてて忘れてたよ」

 師匠

 「(スケッチブックを覗いて)ん?あみだくじやってたの?何の当たり?」

 コチサ

 「(コチサもスケッチブックを覗いて・・・なるほど、確かにこの線はあみだくじだね)これは、遊んでいる子供とうたた寝するお母さんを表した新しい表現法です」

 師匠

 「それって、何か芸に使えるネタ?」

 コチサ

 「まぁ、もしかしたら、そうなるかも知れません」

 師匠

 「じゃぁ、お休みのところ悪いけど、早速稽古に入りましょうか?」

 コチサ

 「望むところです」

ライン

 gifアニメ・・・木と花

 初夏の公園は、色とりどり。

 たくさんの人たちが集い、たくさんの人生を謳歌しています。

 とても三色色鉛筆では描ききれない人生がありました。



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