No.316「心の師匠(^^♪」  2003.5.12

 写真・・・「風と共に去りぬ」パンフレットより1

 おかげさまで、外郎売のCDを買ってくださる方が増えています。

 買っていただいた方の中には、そのままメール友だちになってくれる人もいて、外郎売談義はなかなか盛り上がっています。

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 >コチサさんのような発声が理想です。
 >外郎売りを練習して、
 >コチサさんのようになりたいと思っています。

 と言ってくれるのは、とても感激なのですが、実はコチサ自身も「まだまだ未熟者が偉そうに外郎売なんかを話しちゃって」という劣等感から抜け切れません。

 理想の発声に程遠い自分を、いつも意識してしまいます。

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 >じゃぁ、コチサさんの理想の発声って
 >どんな感じなんですか?
 >例えば、誰々さんとか教えて下さい。

 ともよく質問されるのですが、具体的にそういう目標の人には出会えていません。

 最も、コチサの理想の発声は、コチサの頭の中でイメージ化しているものだから、現実にそんな人がいるわけないのはあたりませです。

 そしてそれはコチサが実現するしかないのですが、理想なんていつも一人歩きしてしまうものだから、永遠にたどり着かないのは当たり前です。

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 >コチサさんは、
 >永遠に理想の発声を求める求道者なんですね。

 そういわれるとカッコいいけど、結局は形のない理想を延々と追いかけているだけの、うんちく屋って事です。

 でも、毎日練習していると、確かに先週よりは今週、先月よりは今月、と上達している自分がいるのも事実です。

 理想の発声を見つける為、こういう果てしのない旅を延々と続けるのでしょうか。

ライン

 会長

 「あのー、風と共に去りぬ、行きませんか?」

 コチサ

 「喜んで!」

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 写真・・・「風と共に去りぬ」パンフレットより2

 ミュージカル「風と共に去りぬ」帝国劇場。

 スカーレット・オハラ役に大地真央さん、レッド・バトラー役に今井清隆さん、の日本語版です。

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 会長

 「日本人のバージョンですけど・・・」

 コチサ

 「なんのなんの、台詞がよくわかって結構なことです」

 会長

 「ビビアン・リーさんの役を大地真央さんがされます」

 コチサ

 「映画見た事ないんで、よくわかりません」

 会長

 「じゃぁ、先にある程度のストーリーをお教えいたしましょうか?」

 コチサ

 「大丈夫です。風と共に去っちゃうお話だというのはわかります」

 会長

 「・・・」

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 写真・・・「風と共に去りぬ」パンフレットより3

 そして開演・・・

 その瞬間から、コチサはストーリーが飛びました。

 大地真央さんに首ったけ。

 大地真央さんの発声は、他を圧倒していました。

 短い台詞も、長い台詞も、同じように発声されます。

 そして必ず最初の一音目から、はっきりと変わらぬトーンで耳に入ってきます。

 単語による声の揺れが全くありません。

 大きい声の台詞、囁き声の台詞の区別を、声の大きさでは表現していません。

 だから、囁き声でも囁き声とわかりながら、観客の耳には一言一句漏らさず伝わってきます。

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 コチサ

 「会長、オペラグラス貸して下さい」

 会長

 「は、はい」

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 写真・・・「風と共に去りぬ」パンフレットより4

 コチサは、大地真央さんの喉のアップをずーと追いかけました。

 (演技を見られずに、ずーと喉だけみられる大地真央さんも可愛そうです)

 コチサが気になっていたのは、より大きな広角の発声をする時に、喉のラインに力が入ってしまう事。

 それが筋とか張りに現れて、外からわかってしまうこと・・・

 しかし大地真央さんの喉は全く変化がありませんでした。

 小柄で華奢な大地真央さんですが、しっかり筋力トレーニングを重ねている事がわかりました。

 大地真央さんの声は、まわりの音楽やその他の環境には絶対に負けません。

 音楽に合わせて声を競らせるのではなく、観客の耳には全く別な音として入ってくるので、どんな状況でもはっきりと言葉が耳に飛び込んできます。

 競演の役者さんの中には、音楽に負けてしまうので、声を大きく張り上げる方もいらっしゃいましたが、大地真央さんはそれが声を伝える手段として適切でない事を知っていました。

 コチサの理想の発声が、ここにありました。

ライン

 写真・・・炭火焼肉トラジ「日比谷店」内1

 於:焼肉トラジ「日比谷店」

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 会長

 「乾杯!」

 コチサ

 「うわー、厚いカルビ」

 会長

 「特・大トロカルビですから」

 コチサ

 「こいつは美味です!」

 会長

 「いかがでしたか?風と共に去りぬは?」

 コチサ

 「大地真央さんは、すごいです」

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 写真・・・炭火焼肉トラジ「日比谷店」内2

 そしてコチサは、大地真央さんの発声のすばらしさを、焼肉を焼く手を休めることなく、会長に伝えました。

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 会長

 「そうなんですか。そんなにすごいんですか、大地真央さんは」

 コチサ

 「すごいっす、すごいっす。台詞まわしとか、しゃべり方の癖とかは、それは本人のもって生まれたものだから好き嫌いは関係ないんですけどね。あの発声だけは、コチサの理想です。心の師と仰ぎたいくらいです」

 会長

 「でも大地真央さんを見たのは初めてじゃないでしょ。今までは気がつきませんでしたか?」

 コチサ

 「テレビドラマや映画では、台詞まわしとか、しゃべり方の癖とかが個性として表現されるものですから、本当の発声を聞くことは出来ません」

 会長

 「舞台を見て、大地真央さんのすごさを知ったという事ですか?」

 コチサ

 「すごいというレベルは超えましたね。憧れます」

 会長

 「外郎売のコチサさんをして、そう言わしめるとはすごいですね」

 コチサ

 「例えて言えば、今日のこの特・大トロカルビ1人前が2980円ですが、これを大地真央さんとすれば、コチサは一人前380円の並カルビです。いやそれ以上の差があります」

 会長

 「じゃぁ、コチサさんももっと努力して、大地真央さん並の、「特・大トロカルビ」になるように精進して下さい」

 コチサ

 「ありがとうございます。その為にはもっと自分を厳しく磨いていこうと思います。私生活も大地真央さん的に、特・大トロカルビでいかせていただきます」

 会長

 「それってもしかして、今後は「特・大トロカルビ」以外は食べないってことですか?」

 コチサ

 「もちろんでぇす(^_^)v」

ライン

 写真・・・「風と共に去りぬ」パンフレットより5

 大地真央さんのすばらしい舞台。

 発声法に悩む皆さんに、一見の価値ありです。



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