No.144 2001.9.19
ジョギング中に出会う「変な人」たち・・・
その1)変なおじさん・・・
両手で手刀を切るように、左右に「シャッキ、シャッキ」と言いながら散歩しているおじさん。
ジョギングコースは狭いので、すれ違う時はちょっと恐いです。
おじさんは、人が近づいてきても手刀を振り回すのをやめないから、斬り付けられたら大変。
昔のイリュージョンで、ベットの上に横になると、上から回転する電気のこぎりが降りてくる、というのがありましたが、なんかそんなちょっとしたサスペンス気分です。
その2)変なおばさん
ちょっぴり太目の50歳代のおばさん。
白のタンクトップで肉付きの良い体をユサユサして蒸し暑いベンチに座っています。
隣には、毎回違うホームレスの男性が座っていて、おばさんは抱きついてキスをしています。
コチサはそのおばさんの横を走る時は、いつもスピードが上がるので、その後の呼吸を整えるのがちょっと大変。
その3)変なお兄さん
もう3年くらいの顔見知りのホームレスのお兄さん。
いつも黒いオーバーを何重にも重ねて着ています(今年の猛暑の最中にもそうでした)
髪も伸ばし放題、ヒゲも伸ばし放題、顔も真っ黒なので、少し離れて見ると「黒い塊」に見えます。
あぐらをかいて座っていて、右手を上下に動かして右膝を叩いてリズムをとって、お経のようなものを3年間あげつづけています。
このお兄さんの前を通過するのが、約3秒。
たった3秒でも、3年もすれば、断片的なフレーズで繋がって言葉を成してきます。
それによると、
「世界は世界、宇宙は宇宙、飛び立つ彼方、呼び戻せなんとか・・・」
というような事をおっしゃっていることが判明しました。
その4)変なランナー
今でもランナーの方々の中に時々見かけるのは、サウナスーツのようなものを着込んで走っていらっしゃる方たちです。
汗はたくさんかくけど、それはただ水分を出しているだけで、水を一杯飲んだら元に戻っちゃうし、何より走るのが辛いし・・・
減量の為のボクサー以外は意味がないんじゃないかと思ったりするんですけど・・・
そのランナーも、遠目には、そうしたランナーの一人かと思ったのですが、近づいてきたら違った・・・
今ではあまり見かけなくなった、黒いゴミ袋を着ていたのです。
穴をあけて頭を出して・・・
ポンチョのように・・・
そしてサカサカ走っています。
何の為のゴミ袋なんだろう?
コチサは意味がわからなかったのですが、そのランナーの方は元気よく「こんにちは」と挨拶をされてきたので、コチサも「こんにちは」と応えました。
その5)変な宮田さん
宮田さんというのは、コチサの中で、こざっぱりした服装で如才なくまとめた「銀行員さん」の代名詞となっています。
物腰も柔らかで、愛想もよく、誰からも好かれ、笑顔で自転車に乗って、街行く人に笑顔で挨拶を交わしながら営業をする、仕事も有能な銀行員さんを総して、コチサは宮田さんと呼んでいます。
その宮田さんも、例によって押さえ気味の色のズボンに半そでワイシャツ、ネクタイ、温厚そうなメガネ・・・
という一部のすきも無い姿で正面から自転車に乗ってやってきました。
ジョギング中は、やはりすれ違う人によって少し心配になることもあるので、注意は怠りませんが、こういう宮田さんなら大丈夫です。
コチサは気を緩めて注意を逸らしました。
その時、宮田さんはいきなり大声で、
「うわー!!!!!!!!」
と息の続く限り叫びだしたのです。
でも表情一つ変えません。
自転車の速度もゆっくりのままです。
そして、ずーと叫び続けながら、コチサのまわりを大きく旋回してまた戻って行きました。
コチサも、周りの人たちも、唖然として立ちすくんだままです。
その姿からは、予想もつかない出来事だったからです。
「何かの罰ゲーム?」
最初はそんな風に思ったくらいです。
でもよく考えると、変わらない表情、叫び終わった後も決して慌てずにその場からゆっくり移動したこと、などを考えると罰ゲームではなかったようです。
何かが宮田さんを、路上で叫ばせると言う事に駆り立てたようですが・・・
恐かった・・・
こうして「変な人たち」と出会ってはすれ違うというジョギングを続けているコチサですが、
もしかしたら・・・
毎回120円を握り締め、手首にポーチを巻きつけ、憑かれたように周回コースを走り続けるコチサも「変な奴」と思われているのかも知れません。
神田川ジョギングコースは、変な人たちがそれぞれの秋を満喫しながら過ごしています。
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