No.532 「地上の七日間」 2005.8.5
 灼熱のアスファルトの上・・・

 灼熱のアスファルトの上、セミが仰向けになってもがいています。

 6本の足をバタバタと・・・時おり体をピクッと痙攣させています。

 コチサ
 「地上での七日間のお勤めを全うしたんだね(^o^)」

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 セミの一生は、地中は7年、地上は7日・・・

 セミの一生は、地中は7年、地上は7日と言われています。

 (※実際には、まだまだ研究中の部分もあり、地上で1ヶ月も生きる場合もあったりするようですが・・・)

 手足をばたつかせて悶える断末魔の姿は、苦しそうに見えます。

 車が一気に走り去っていけばラクになるのに・・・

 などと思ったりもします。

 でも・・・

 セミは苦しいのかな?

 どうしても人間の感覚で考えてしまうから、断末魔のもがきようは、痛く苦しく辛いものだと感じでしまうのでしょう。

 コチサの目の前のセミが、その天命を全うしようとしているその姿は、実はセミにとっては、高い木の上で声高に鳴いている時以上に、崇高な気分を味わっている瞬間なのかもしれません・・・

 コチサ
 「それを、車に轢かれて一気に楽をさせてあげたいなんて・・・コチサも随分人間界の垢に染まったものだな^-^;」

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 ずーと昔、コチサがまだセミだった頃の事を思い出しました・・・

 ずーと昔、コチサがまだセミだった頃の事を思い出しました。

 最初の記憶は、枯れ枝に産み付けられた卵から孵化した時にはじまります。

 コチサは仲間たちと一緒に、必死で木を下り、地中に潜って木の根に取り付きました。

 針のような口を差し込んで樹液を吸い、長い年月を過ごしたものです。

 真っ暗なとても静かな毎日でした。

 そこで、コチサは来る日も来る日も夢を描き、地上での七日間の生活をイメージしたものです。

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 何度目の夏だったでしょう。

 遠くから声が聴こえました。

 「もう出ていらっしゃい(^o^)」

 優しい優しい声でした。

 あれは、コチサを産んでくれたお母さんだったのか・・・それともお日様の声だったのか・・・

 地上に出て、ゆっくりゆっくりおぼつかない足取りで、木に登り、住処を目指した時の事は忘れられません。

 眩いばかりの太陽の日差しの中、大きく大きく膨らむ希望と、一抹の不安を抱えて・・・

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 コチサは「ヒグラシの雄」でした

 コチサは「ヒグラシの雄」でした。

 だからコチサは、アブラゼミが鳴き終わった夕方や夜明け前に鳴きました。

 大きな声で、声を限りになきました。

 コチサゼミ
 「ティティティティティティティ・・・」

 セミの鳴き声の中でも、ヒグラシの声は一番素敵です^-^;

 コチサが人間になって、「声」のお仕事を人生の伴侶に選んだのも、このセミ時代の思い出があったからかもしれません。

 コチサゼミ
 「ティティティティティティティ・・・」

 ♪ティティティティティティティ・・・
 コチサゼミが鳴きます・・・
 セミをクリッククリック♪


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 コチサゼミが鳴き終わると、今度はニイニイゼミの出番です。

 ニイニイゼミは、けっこう遅くまで鳴いているので、翌朝夜明け前にも鳴くコチサにとっては、寝不足を誘う嫌なヤツでした^-^;

 そんな地上の楽園を謳歌したコチサゼミにも、ついに地上最後の日がやってきました。

 それは、前方にあった美味しそうな木に飛び移ろうとした時でした。

 これまでは自由に木から木へ移動できたものが、羽根が自由に動きません。

 コチサゼミ
 「あー!!!!」

 あっという間に、コチサは地上に叩き付けられ、仰向けにもがいていました・・・

 コチサゼミ
 「う・う・う・・・誰か・・・た・す・・け・・・て・・・」

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 コチサはこの後の記憶がありません。

 山猿コチサでぇす(^^)/

 次のコチサの記憶は、人間に生まれ変わって、山猿コチサとして、香川の山奥「益田家」に生れ落ちたあとのものになります。

 だから、あの時、セミだったコチサは苦しかったのか辛かったのか・・・?

 「たすけて・・・」

 と叫んだ記憶がありますが、それは単なる条件反射のようなものだったのかも・・・

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 社長
 「なんにしろ、車が通りかかってでも一気に楽にさせてあげたい・・・なんて思うのは傲慢だね」

 コチサ
 「おっ、社長!久しぶりの登場じゃん。良かったね(^o^)・・・このところ出てこないから心配してたんだよ^-^;」

 社長
 「出るも出ないも、ひとえに君個人の裁量だろ・・・出演者を全て自分で決めるワンマンプロデューサーみたいだね^-^;」

 コチサ
 「いいじゃん、コチサのコチサニュースなんだから(`_')」

 社長
 「ごもっとも」

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 もしかしたらセミは苦しかったのかもしれません・・・

 もしかしたらセミは苦しかったのかもしれません。

 一気に潰して欲しいと願っていたのかもしれません。

 でも「生まれてから死ぬまで」与えられた使命を全うするのが、全ての生物に与えられた使命なはずです。

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 コチサ
 「痛いのはイヤだ、苦しいのはイヤだ、などと言っていては一歩も前には進まんのだぁ(^^)/」

 社長
 「すごいね。とっても君の口から出る言葉とは思えないよ^-^;」

 コチサ
 「そういえば・・・」

 社長
 「(嫌な予感^-^;)」

 コチサ
 「コチサがセミだったころ、よくコチサの美しい鳴き声を邪魔する音痴なクマゼミ君がいてね・・・コチサは「こいつとはとことんソリが合わない、前世でよっぽど折り合いが悪かったんだろう・・・来世では絶対に関わりたくない」と思ったものだよ^-^;」

 社長が音痴なクマゼミだった頃
 「ギュギュギュ〜ギュギュギュー」

 ♪ギュギュギュ〜ギュギュギュー
 音痴社長ゼミが鳴きます・・・
 セミをクリッククリック♪

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