歯が痛いっす。
何でだろ?
虫歯かな?
歯には特に注意を払って、気をつけていたのに・・・
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
コチサ
「やぁ(x_x)」
先生
「これは益田さん、久しぶり(^-^)・・・えーと(カルテをめくって)一年半ぶりですね」
コチサ
「歯が痛いっス(x_x)」
先生
「じゃぁ見せて下さい」
コチサ
「痛いのは嫌だじょ(`_')」
先生
「じゃぁ放っときますか?」
コチサ
「放っとけるくらいなら来ないじょ(;-;)」
先生
「一年半ぶりってことは、うちからは2回か3回ほど手紙が送られていると思うんですが・・・」
コチサ
「そういえばそんな気が・・・でも痛くないときに歯医者さんからの手紙なんて、お尻を拭く必要の無い時のトイレットペーパーみたいなもんだよ」
先生
「言ってくれますね^-^;」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
この歯医者さんとは、コチサが新宿の街に引っ越してきてからのお付き合いです。
何度か詰め物が取れたときや、歯石除去などの日々のお手入れでお世話になっています。
先生は「歯だって立派な体を担うパーツだからね。痛みが無くても定期的にチェックするのは大切だよ」という持論です。
だから通われたお客さんには、半年に一度「その後いかがですか?」という手紙を出して、自分の歯への関心を持ち続けてくれることを側面サポートしています。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
先生
「決して営業はがきじゃないんですけどね」
コチサ
「でも、元気な時に手紙もらっても、わざわざ歯医者さんに行こうとは思わないからね」
先生
「人々の歯を大切に、という私のこの姿勢は無駄なのでしょうか(;;)」
コチサ
「いや無駄じゃないさ、現にこうやってコチサは来たわけだし^-^;」
先生
「でも痛み出してからじゃないですか(`_')」
コチサ
「だからぁ、人間は身に付いた習慣を変えるのはなかなか時間がかかるものなんだよ」
先生
「さぁグタグタ言ってないで治療をしましょう、こちらに座って下さい」
コチサ
「ね、約束だよ。無痛治療だよ、ねっ。注射なんか打ったら承知しないからね(涙)」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
コチサは、人生の中で何が怖いって歯の治療ほど怖いものはありません。
あの「キーン」という音を聞くだけで体に戦慄が走ります。
でもまぁコチサも大人ですから、多少の痛みは我慢しますが^-^;
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
先生
「嘘言わないで下さい。多少の痛みどころか、まだ始める前から何も我慢してないじゃないですか」
コチサ
「ん?」
先生
「まだ始める前から、私の手は痣だらけですよ」
コチサ
「あっ、すまんすまん^-^;、それだけ緊張してるってことだからさ。よろしく」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
歯の治療は口をあいてするものなので、痛かったりしてもそれを言葉で相手に伝えることは出来ません。
そこでコチサはいつも先生の手をつねる事でこちらの状況を教えてあげるようにしています^-^;
今回は久しぶりの歯医者さんだったので、少し勇み足だったようです^-^;
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
先生
「はい、終わりました。暫くは堅いものは食べないで下さいね。歯茎のほうにダメージがいくと治りが遅くなりますからね」
コチサ
「了解(^o^)」
先生
「じゃぁまた来週来て下さい」
コチサ
「本当はさぁ・・・」
先生
「はい?」
コチサ
「別な歯医者さんに行こうと思ってたんだよね」
先生
「な、なんでですか?ここでは不満ですか?」
コチサ
「いや、そういうことじゃなくてさ。事務所が引っ越しちゃったからさ。やっぱり昼間通うには事務所のそばが良いでしょ」
先生
「それはまぁ、そうですけど・・・」
コチサ
「でもまぁいいじゃん。やっぱり思いなおしてここにこうして来たんだからさ(^o^)」
先生
「ありがとうございます。まぁとにかくきっちり治しましょうね」
コチサ
「よろしく(^o^)」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
歯がしくしく痛み始めた一週間くらい前から、事務所の近くの歯医者さんにあたりをつけていて「来週早々にでも行こうかな」と思っていた矢先の週末に、痛くて我慢できなくなった・・・などとはとても言えません^-^;
で、自宅に戻ったコチサは、思いたって古い郵便物をあさってみました。
「益田沙稚子さま
最後に通院されてから半年が経ちました。
その後、歯の調子はいかがでしょうか?
生涯付き合っていく大切な歯です。
定期的なケアの為に、
いつでもお気楽にご来院下さい。
当院では、さまざまなご要望ご相談に
ご対応させていただいております」
コチサ
「そっかぁ、行間を読まないといけなかったんだなぁ」
先生自らも「営業はがき」と危惧している患者さんへの手紙の文章です。
歯医者さんになるくらいだから理科系の人だと思います^-^;
だから文章は事務的だし、ともすれば「営業はがき」としか感じられないものがあります^-^;
でも、こうして歯の痛みを抱えながら読んでいると、そこには先生の「歯」に対する思いが行間を溢れて浮かび上がってきます。
コチサ
「先生が悪いんじゃない。人間はやっぱり自ら痛い目にあわないと気がつかない事が多すぎるんだよ」
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
どんな歯医者さんが好きかと聞かれれば、ほとんどの人は「優しい歯医者さん」と答えると思います。
でもその優しさには、「治療で痛くしない」技術者としての優しさもあれば、「患者さんがもう二度と虫歯にならないように」と願う人間としての心の優しさもあります。
幸いコチサは、無痛治療の腕も持ち、心も優しい歯医者さんに恵まれたようです。
・・・と、何とか自分では納得して、日々の歯のケアの大切さを受け入れようとはしたものの・・・
痛みが無くなれば、何故か絶対行きたくないと思えるのが歯医者さんです^-^;
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
痛みと共に殊勝な気持ちもすっかりどこかに吹っ飛んでしまった翌朝、アサリのお味噌汁を意気揚々と食べていると・・・
「ガリッ!!」
神様は、再びコチサに、痛みと殊勝な気持ちを思いださせてくれたようです・・・(;;)