2003年3月23日午前8時50分、コチサは荒川市民マラソン・スタートゲートに立っていました。 申し込みが少し遅れたので、申し込み順に並ぶスタート位置ではほとんど最後尾、本当のスタートラインからは約800メートルほど後ろになります。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「最初からトラック2周分のハンデじゃん」 大会役員のおじさん 「大丈夫だよ。記録は足につけたRCチップが計測するから、ネットタイムで出るよ」 コチサ 「そうは言っても先頭の誘導車が天井に付けている、大きな電光掲示時計はグロスタイムでしょ」 大会役員のおじさん 「あの時計を見るような人は最初からこの位置には並んでないと思うけど・・・」 コチサ 「ごもっともです(ーー;)」 そして午前9時。 スタートの号砲と共に花火が打ちあがりました。 さぁ出発です。 それでは、コチサマラソン珍道中をお楽しみ下さい。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサの足に付けたRCチップがスタートラインを通過したのは、先頭のランナーが通過してから12分後の事でした。 コチサ 「1万7千人も走るんだから仕方ないよね」 42.195キロの長丁場。 コチサは暢気に構えることにしました。 最初の10キロの戦略は、 「先ずペースを掴もう!」 です。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ふと見るとコチサの目の前に、体にぴっちりした赤いショートパンツとタンクトップを着こなし、きびきび走る外人の女性がいました。 足がとても長く、お尻がコチサの顔のところくらいまであります。 コチサ 「よし、この人早そうだし、目立つからペースメーカーに決めた」 早速コチサはその女性のお尻に回り込みます。 しかし、この女性は足の筋肉もきれいに出来上がっているし、相当走りこんでいるのは明らかです。 それに足の長さの違い・・・ この女性の膝から下の部分に、コチサの足全体があると思ってください。 そんな女性についていく事を決めたのだから、優雅なその人の走りに比べて、コチサの足は水の中を掻くガチョウのように高速回転をしています。 コチサ 「失敗したかなぁ?でもまぁとりあえず、10キロまではこの人について行こう」 サバンナを練り歩く雌ライオンに、何故かダックスフンドが付いて歩くの図(;O;) ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 今年で第6回を数える荒川市民マラソンは、市民と行政・ボランティアが一体になってランナーをサポートしてくれる、まさに至れり尽くせりの大会です。 そのケア体制は、コチサはこれまで出場したどの大会も凌ぎます。 でもそれが、コチサの記録にとって良かったのか悪かったのかは、難しい問題でした。 この大会は全42.195キロを通じて、15箇所もの給水ポイントがあります。 単純に計算しても3キロ弱に一箇所ですが、ランナーの疲労がピークになる中盤から後半にかけて集中していて、ほぼ2キロ毎に設置されています。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 給水ポイントまであと300メートルの看板が見えました。 ハーフのときは一気に走りきるので、給水はしないことにしているコチサですが、今回はフルなのでこまめにエネルギーを補給していこうというのが、事前に立てた作戦です。 コチサ 「おっ、給水ポイントかぁ、補給するか」 人だかりが見えます。 コチサ 「たった一杯の水にすごい人気だな。さすがフルマラソン」 コチサも飛び込みます。 コチサ 「ごめんよ、ごめんよ、ちょいと入れておくれ」 人ごみを潜り抜けて見たそこは、なんと別世界でした。 コチサ 「えっー!!!」 「水」「スポーツドリンク」はもとより「ぶどう糖ブロック」「エナジータブ」の運動能力維持系から「バナナ」「オレンジ」の果物系、そして「クッキー」「お菓子」「チョコレート」等の果物系まであります。 なかでも一番驚いたのは、「まるでここはパン屋さん?」と見惑うばかりの「あんパン」の陳列です。 コチサ 「うわー、すごい・・・(食す)ん、おいしー」 とりあえず、あんパンを食べ、水を飲み、オレンジを食べ、エナジータブとぶどう糖ブロックを噛み砕き、お菓子とアンパンをもうひとつポケットに押し込み、名残惜しい気持ちで給水所を後にしました。 コチサ 「最高だね、まったく、あんパンを食べながら走れるなんて」 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: しかしこのタイムロスは大きかったようで、あのお尻がコチサの顔の位置にあるペースメーカーのお姉さんはもうはるか先で「点」の存在になっていました。 コチサ 「やっぱり10キロまでだったか・・・まぁいっか次の給水所を目標に走ろう!・・・でもあのお姉さん、給水しなくて大丈夫なのかなぁ?」 しかしながらこの荒川市民マラソン、15箇所もの給水ポイントはダテじゃありません。 ポケットから取り出したお菓子とあんぱんを交互に食べながら走っていると、あっという間に次の給水ポイントの表示がやってきます。 コチサ 「また来た」 最初の頃こそ、その表示が嬉しかったコチサですが、毎給水所ごとにあんパンとそれに伴うお菓子を頬張っていたコチサは、少しお腹がいっぱいになりかけていました。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ボランティアの人 「はい、どうぞ、食べて力をつけて頑張って下さい」 コチサ 「お水とバナナとブドウ糖とエナジータブにチョコレートとカントリーマアムだけにしときます。もうあんパンは結構です。食べ過ぎましたから」 ボランティアの人 「これあんパンじゃないですよ、クリームパンですよ」 コチサ 「えっ?ク、クリームパン?そ、それを早く言ってよ。あんパンはもう我慢するけど、クリームパンじゃ食べないわけにいかないじゃないですか」 ボランティアの人 「す、すみません。はいどうぞ」 コチサ 「二ついただきます。いっこはポッケの中に入れて後で食べます」 ボランティアの人 「行ってらっしゃい。頑張って下さいね」 コチサ 「行ってきます。任せて下さい。ゴーゴーゴールを目指します!」 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: この時点で、コチサはあんぱん3個、クリームパン2個、そしてチョコレートをはじめとしたお菓子系やエネルギー系、果物とほとんど満腹状態です。 果たして、カロリーを消費しきって次の給水ポイントを迎えられるか? (これじゃ普通のランナーと逆だね(o^o^o)) 次の給水ポイントは、たった3キロ先です。 そして、この後も給水ポイントでは、新たなアイテム「チョコレートパン」や「シャーベット」等が、てぐすねを引いて待っていることを、この時のコチサはまだ知る由もなかった・・・ 果たしてコチサ選手のフルマラソン完走やいかに? (これって本当にマラソンランナーの奮闘記?) 長くなったので、次号へ続きます(^_-)-☆ |
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