No.61 2001.3.5
「公的骨髄バンクを支援する東京の会」という組織があります。
先週の土曜日、インタビューのお願いを兼ねて、会合に出席させていただきました。
毎月の会合に、新しい仲間が加わるようで、今回の会合にも3人の初出席の方のご挨拶がありました。
先月ドナーとして、骨髄提供をしてきたという男性。
兄が白血病と診断され、少しでも情報が欲しいから参加してみましたという男性。
慢性骨髄性白血病と診断され、幸いにも家族とLHA型が一致し、移植を受けることになったけれども不安が募るのでお話を聞きに来ましたという女性。
の3名の方々でした。
この新人3名を加えた、総勢25名ほどの人たちが、輪になり、世間話をしながら、数万通に及ぶ「東京の会通信」という小冊子の発送作業を行いました。
最初は緊張していた3人の方も、次第に打ち解けて和やかな雰囲気になってきました。
面と向かって深刻な話しをするよりも、こうして作業に没頭しながら、問わず語りにコミュニケーションを広げていく・・・
そんな方法もあるんだなぁと思いました。
ところで、この東京の会のメンバー、構成員は、様々です。
先ず、白血病などの病気を患い、現在ドナーさんが現れるのを待っている方々がいらっしゃいます。
またすでに移植を受けられ、元気を取り戻した方々もいます。
そして、ドナーとして登録をしている方がた・・・
この中にはすでに、骨髄を提供された方、まだ提供すべき相手が現れない方がいます。
この春に2度目の骨髄提供の最終同意をしたという方もいらっしゃいました。
それぞれの人たちがそれぞれの意見を持ち、それを主張しながらも、違う立場の人たちのそれぞれの意見を聞いていくという作業が、繰り返し繰り返し行われて来たんだろうなということが、皆さんの話を聞きながらコチサは感じました。
で・・・
いろいろな事を思ったり考えたりしたんですけど・・・
コチサがただ単純に一番最初に思ったこと・・・
ドナーさんが現れるのを首を長くして待っている患者さんたちがます。
骨髄を提供しようと思いドナー登録をしていながら、なかなか提供の時にめぐりあわない人たちがいます。
この会場に、そんな磁石のS極とN極のような人たちが何人もいて、互いの袖触れ合う距離で、話しをしているのに、この磁石はくっつかない・・・
LHAという赤血球の型はとても複雑で、なかなか一致するのは難しい・・・
ということはもちろん理解しているのですけど、やっぱりくっつかない磁石には、とても大きな石を飲み込んだような気持ちになりました。
これも世の中にたくさんある、無念なことや悔しいことの一つかもしれません。
人は、そういうことに一つ一つ出会って、
「あきらめて、理解して、また立ち上がる」
その時に、その人の顔に勲章のように「しわ」が刻まれる・・・
そういうこともわかっているつもりですが、やっぱり無念な悔しい気持ちになりました。
そんな時、5月にドナーとして骨髄の提供が決まったという男性を取り囲む人たちの声が聞こえて来ました。
「まだ禁酒続いてるの?」
「うん、2カ月目」
「へーあの大酒飲みがねぇ」
「アルコール好きまで移植されちゃったら申し訳ないからね」
骨髄を提供するために、半年前から好きなお酒を絶つ人がいる。
自分の体であっても、もう自分だけなの体じゃないからだ。
その男性が、どれだけ大酒飲みなのかはコチサにはわからない話しだけれど、笑って禁酒が出来るその人の磁石は、とっても強くて優しい磁力を持ってどこかの誰かに届くのだろう。
骨髄移植のドナーさんが、「命のボランティア」と言われる訳が少しわかったような気がしました。
そしてコチサは、先ほどの無念な気持ちから少しだけ幸せな気持ちになりました。
「公的骨髄バンクを支援する東京の会」の方々のインタビューの模様は、後日リスニングマガジンにて発表できるよう、現在詳細打ち合わせ中です。
ご期待下さい。
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