その時、彼女は奇跡を見た。
ハッキリと目の前で本物の奇跡を見た。
目から止めど無く涙があふれた。
「私達は勝ったんだわ・・」
1970 セブ島
この美しい海と珊瑚礁に囲まれた南の島で一人の少女が生まれた。
彼女の名はリサール・ルンナリン。
艶やかな黒髪と、吸い込むような黒い瞳をもつこの少女は、いつも海の遠くを見つめていた。
ローマカトリック教徒の両親をもつ彼女は、いつも協会でお祈りしていた。
「神様、どうか私をここから出してください・・海の向こうに・・」
漁師の父は、暇を見つけては娘を抱きかかえ、港を歩きながら娘に話かけていた。
「ほら、みてごらん、、あれがパパのお船だよ」
少女は心の中でいつも思ってた。
(いつか私も船をもつわ、、そして、この島から出るのよ)
1970 四国香川県
瀬戸内海に面した美しい町で、一人の少女が生まれた。
彼女の名は益田沙知子。
いつも海の向こうを眺めていた・・・・
1983 マニラ
ベニグノ・アキノ暗殺される
1983 セブ島
少女は初めて恋をした。相手は年上の男だった。
たくましい体をした青年と、一緒に海をわたろうと誓い合った。
だが、たまたま父と男の会話を聞いてしまった彼女は、目の前が真っ暗になった。
「あんたの娘は上玉でっせ、こいつは高く売れますよ」
彼女は深く傷付き、家を飛び出した。
それから1ヶ月後、13才の少女は初めて島を出るチャンスを手に入れた。
母親が反対する中、彼女の決心は変わらなかった。
初めてもらった仕事をするために船に乗り込んだ。
一人の男が彼女に念を押した。
「本当にいいのか?もう帰ってこれないぞ」
美しい少女は、厳しい目で住み慣れた街を振り返りながら答えた。
「私の決心は変わらないわ」
船はルソン島に向けて出発した。
この国の首都、マニラ目指して。
1983 四国香川県
コチサは初めて恋をした。
そして深く傷ついた。
1986 マニラ
首都は、ゲリラによる爆弾事件があいついでいた。
少女はテロリストとしてはプロ級の腕を身につけていた。
公会堂、バス、公園、スタジアム、道路のゴミ箱、いたるところで仕事をこなしていた。
爆弾ルンナ、、これが彼女のあだ名になっていた。
「2月の大統領選挙さえ終われば日本に行ける・・」
彼女は口癖のようにいつも唱えていた。
運命の日はやってきた。
開票速報がニュースで流れる。
「ウソだ!」
誰もが口々に騒ぎ出した。
「でたらめだ!こんな選挙あるか!」
全国民の怒りは頂点に達した。
街は抗議のデモで半狂乱状態になった。
ルンナリンは、怒りが沸々と込み上げるのをこらえながら、ボスの声を無線でじっと聞いていた。
「今こそ立ち上がる時が来た!
本日、この時をもって、我々はテロリストではない!
我等こそ国家なり!
ここに反マルコス政府軍を旗揚げし、大手を振って戦線を布告する!
同士達よ、銃を天高く掲げ上げろ!
生きとし生けるもの全ての為に!
我等の自由と未来の為に!
死んでいった同士達の為に!
我等の命の続く限り、最後の血の一滴が尽きるまで!
断固として戦おうではないか!
諸君と勝利の美酒を交わす時まで、しばしのおわかれだ。
幸運を祈る! アディオス!・・・・・」
彼女は祈った
(勝利の女神よ、我等に微笑みたまえ)
そしてまもなく、彼女は軍との力の差を歴然と見せ付けられた。
バリケードはまるでオモチャのように戦車に踏み潰され、完全に戦車部隊に周囲を包囲されていた。
弾も手榴弾も底をつきた時、悪魔の爆音が空から響いてきた。
ヘリコプター部隊が空まで包囲した。
(私はここで死ぬのね・・・)
悪魔の爆音は徐々に徐々に上から近づいてくる。
(さぁ、蜂の巣にしてちょうだい!)
全身が恐怖でガタガタと震えだし、顔からは血の気が引いていた。
まるで刑の執行を直前に待っている死刑囚のように、体を震わせながらじっと目を固くつむっていた。
ヘリコプターの爆音と突風が全身に痛いようにぶつかってくる。
目を開けたら、顔の直ぐ前にヘリコプターが飛んでいるかのような錯覚におち、おそるおそる目を開いてみた。
その時、彼女は奇跡を見た。
ハッキリと目の前で本物の奇跡を見た。
目から止めど無く涙があふれた。
「私達は勝ったんだわ・・」
1986 四国香川県
コチサは放送室で中継を見いていた。
コチサは一言も語らず、マイクのスイッチを切った。
モニターの音量をスピーカーにつなぎボリュームを上げる。
「ニーチェス、東京へ行こう、、、」
つづく(^^;
さて、この二人の運命はいかに!
空港で運命の出会いがまっているのか?
それとも、アメリカで出会うことになるのか?
それは次回のお楽しみ、、、
バッハハ〜い(^O^)/~
そして、待つこと数日・・・・・(コチサ談)
わぁーーーー!!!
ごめんなさい!
ごめんなさい!
締め切り間に合いませんでしたm(__)m
え?忘れてたんでしょ?って?
ブルブル!そそそ、そんなことは決してございません。
もう、朝から晩までコチシムのことは一度たりとも
頭の中から離れたことはありません。
忙しかったなんて言い訳しません。
ごめんなさいです。
そんでもって、あのつづきですが、
え?もういい?締め切った?
いいんです。締め切ってもボツになってもあのまま
尻切れとんぼではバーチャルコチサさんがかわいそうです。
で、どうしましょうか、、つづきは、、、
え?いまから考えるのかって?
んだんだ、いまから考えるんだけろ(^^;
って、話は変わりますが、HPリニューアルするんですね!
わお!楽しみですぅ、、、
さて、
えーと、、、
長い弁明だなぁ〜(コチサ談)
「成田空港26時発特別便」 まずこれだ!(^^;
と、特別便・・・・・・・・なぬ?
とりあえずパス、、、
「涙の大合唱」
よし、これからだ!
大合唱でしょ?
なぬ?
んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうだ!
コチサさんは社長とわかれて大きなトランクを転がしながら搭乗口へと消えていくんですよね、、
そう、実はその時、ボロボロ泣いていたんです。
社長の前では涙はみせまいとして、わざとそっけなく別れたんですが、でも本当は別れ惜しくてしょうがなかったんです。
「一緒に来て」
この一言が言えなかったんですねぇ、、もう強がりなんだから、、
社長も社長で、本当は一緒に付いてってやりたかったんです。
でも、そこはぐっと我慢したんです。
コチサさんは、振り向きたい衝動を必死に押さえながら搭乗口へと消えていきました。
コチサさんの田舎では、その日は朝から大騒ぎだったんです。
両親からコチサさんがアメリカに行ってしまうと聞いた近所の人達がなんとしてもお別れを言いたいと言い出したんです。
あのゴルフ場の一件以来、村の人達はコチサさんに希望を与えてもらったといって、コチサさんはある種の教祖的な存在になっていたんです。
「我々に希望を与えてくれたコチサになんとかお礼をいいたい」
村の人々はみんなで朝から話し合いました。
そこで
「今から東京さ行くべ!」
そして村の人達全員で東京へ、、、行かない!
って、ちょっとまてよ、、
いや、違う、、、あーーーーーーーーーーーーー!
いいこと思い付いた!
今のナシね、、、
搭乗口に消えるコチサからやりなおし、、、
コチサの目からは止めど無く涙があふれ出した。
(社長、ありがとう・・)
心のなかで何度も繰り返し叫んでいた。
コチサは知っていたのである。
全ては社長が自分の為に仕組んでいたことを。
(コチサ、頑張れよ!オマエに俺の夢をたくしたぞ!)
社長も泣きながら、心の中で叫んでいた。
コチサは後ろを振り向きたい衝動を必死に押さえながら歩いた、、、
(社長・・・)
こちさはこらえきれずに振り向こうとした瞬間
「振り向くな!早く行け!山猿!」
そう叫んだ社長の顔は涙でぐっしょりだった。
まって、、、
やっぱり特別機は無理だよ、、、(^^;
でも、このままいくと、あの謎のフィリピンねーちゃんはどこで登場するんだべ?
まいっか、、(^^;
つづきね、
社長の顔は涙でぐっしょりだった。。。
機内に腰を下ろし、あふれ出る涙をぬぐうコチサの脳裏には、今までの沢山の出来事が走馬灯のようによみがえってきた。
体育館で初めて人前でしゃべったこと。
阿部君と二人で放課後までフルートの練習にいそしんだこと。
放送室でアナウンサーになることを決心したこと。
さらわれそうになったとき、お父さんが助けてくれたこと。
つぼ八で掃除のおばさん達が送別会を開いてくれたこと。
万里、里子、美智子達のポスターに写った笑顔。
後藤久美子のバックで流れた自分の声。
初めて自分のオフィスを構えたこと。
自分のホームページから送られてきた自分のウィンク。
全てが、まるで昨日のことのようによみがえってきた。
(私がここまでこれたのも、社長のおかげだわ・・・)
機体がゆっくりと動き出した。
コチサは必死に窓にしがみつき、遠くのロビーの窓から社長を探そうと目を凝らした。
その時、大きなガラス窓に横一列に並んで、こちらを見ている集団に気が付いた。
一生懸命こちらに手を振っている集団の一番右側に忘れもしない親友の姿を見つけた。
「アッコちゃん!」
遠くて顔がハッキリ見えるわけではないが、
コチサにはそれがアッコちゃんであることがしっかりとわかった。
その隣にはアッコちゃんのお母さんがいる。
あの時、学芸発表会で歌ったメンバーが勢揃いしている。
山田先生もいる。
「みんな見送りに来てくれたのね!」
ロビーでは、みんなが一生懸命あの時の歌を合唱していた。
その歌声はコチサまで聞こえないが、コチサも同じ歌が自然と口からこぼれてきた。
見送ってくれる人は誰もいないルンナリンは、ゆっくりと滑走路を動き出した飛行機の窓から外を見つめ、日本に来てからの苦しかった日々を思い出していた。
この偏見と差別に満ちた国には未練はなかった。
夢と希望に胸を膨らませて初めて日本に降り立った時、彼女を待ち受けていたのは売春婦のバイヤー達だった。
恋人に騙されそうになったとき、彼女が逃げる術は命をかけて戦うことだった。
やっと溜めたお金を全財産叩いて日本まで来た彼女を待っていたのは、彼女を騙そうとした恋人と同類の人種達だった。
休みなく店で働き、身を削って稼いだお金を惜しげもなく実家に送金し続けた彼女の運命を変えたのは母の死だった。
自分を売ろうとした父の為に仕送りをするつもりはなかった。
飛行機は速度を上げてゆっくりと離陸しはじめた。
二人は別々の思いで遠ざかる街の灯かりを見つめていた。
今度こそ自由の切符を手に入れたんだわ!
私は絶対にやってやる!スターダムにのしあがるのよ!
あいつらを全員私の前にひざまづかせてみせるわ!
奇跡は本当に起きるってことを思い知らせてやるわ!
いよいよ世界にはばたくのよ!
わたしは負けないわ!
私の声を世界中に轟かせてみせる!
いいえ!私の言葉を世界中の人に聞かせるのよ!
それぞれの思いを乗せて、機体はゆっくりと夜の空へと
吸い込まれて行った。
く、くるしーーーーーーー!!!
けど、まぁいいや(^^;
またね〜
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