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FILE19-弟よ
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コチサのペッパーフレンズ●益田沙稚子
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「コチシムによると僕はまだ11歳になります。でもメールが出せるなんて天才かもしれません>浩二」 メール到着音が心地よく聞こえました。田舎の弟です。そういえば、弟は今年就職したのです。コチシムでは、年齢が15歳も離れていたり、出生に問題があったりとありましたが、実際は正真正銘の可愛い弟です。 小さい頃から弟は友達に「お前の姉ちゃん、派手だなぁ」とか言われていて「お姉ちゃん、お化粧してこっちに帰って来ないで」とか泣きついていました。 一人に一台マシンが与えられる環境の会社に入って、ひっそり姉のHPを見ることが出来たのかしら?それとも他の人が見つけて、弟に教えたのかしら?同僚に囲まれて、やいのやいの言われている姿が浮かんできます。 末っ子で優しすぎて気の小さい泣き虫です。子供時代の泣き顔が浮かんできました。字の汚い弟ですがメールだと一人前に見えるから不思議です。複雑な気持ちと嬉しさで、スクリーンセーバーが起動するまで画面を見続けてしまいました。 山に囲まれた田舎では、電話よりも有線が通信手段でした。郵便屋さんも老体で無理をさせたくありません。坂の上の店に本物の電話がありましたが使っている人はいません。使い方も知らなかったはずです。そこで育った子供達が今、メールなどという横文字で瞬時に交信をしています。時代の進歩とそれに追い越されまいと必死で頑張る弟の姿が重なります。コチサの狭い部屋の行李の中には、「おねえちゃん、あいたいです」という拙い手紙が今もあります。「負けるなよ」と感動した姉は返事を書きました。 「姉ちゃん、何言ってるの?それより色紙にサイン30枚書いて送って、会社の人が買ってくれるって。営業先にも配るし。姉ちゃんが初めて役に立ったって感じ」 あらあら、ノスタルジーは儚く消え去り、したたかに育った弟に拍手喝采! |
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