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FILE5-のじ
4/30days
コチサのペッパーフレンズ●益田沙稚子 

敬礼するコチサ


「のじ」はコチサを「さっちゃん」と呼ぶ、ネットとは別の本業の方の古くからのお友だち。出会った頃は番組制作会社のADだったけど、近頃ではディレクターになって何本かのテレビ番組を指揮してました。それでも相変わらず「さっちゃん」と呼んでくれるし、コチサもAD時代のまま「のじ」と呼びアッシー扱いしてました。
いわゆる大御所と言われる人たちに受けが良く、無理難題もご無理ごもっともという感じなのでまさに「順風満帆だね」と言ってよくおごらせました。
その「のじ」がコチサに久しぶりに相談があると連絡を取ってきた時、生憎コチサは出張中で留守番電話がむげに答えてしまいました。そしてそんなこと気にもとめなっかたコチサです。
のじが失踪しました。コチサの耳にもこのニュースはかなり多方面から、尾ひれの付いた噂と共に伝わりました。正確な所は本人に聞くしかないのですが、幾つかの断片的な事実を繋ぎ合わせると、とにかく失踪しなければならない状況に陥った事は事実のようです。
のじ、もしあの時相談に乗ってあげてたらこうはならなかったのかな?
大騒ぎした周辺も次第に平静さを取り戻し、誰もが「のじ」の話しをしなくならなくなった頃、
「さっちゃん、のじです。さっちゃんが「コチサ」という名前でこんなに有名になっていたなんて知らなかった、元気です」
本業の方で、ネットのコチサを知っている人は少ないです。勿論、のじも知らなかったはず。コチサがのじの私生活を知らなかったように。
のじのメールへの返信は届きませんでした。どうやってのじがコチサにメールを送ってきたか良く解りません。ただ、「のじ」は生きています。どこかで何かをしながら生きてました。そしてコチサを覚えていました。メールという手段があったからコチサに連絡が取れただけかもしれません。多くを語らないメールです。でも充分です。「のじ」が生きていたから。


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