No.551 「秋百景」 2005.11.2
 民家の朝顔・・・

 民家の朝顔が、電線にまでツルを巻きつけてしまいました。

 休日の朝、その民家の方が、方々に伸びた朝顔を始末しています。

 電線に絡みついたツルは取れません・・・

でも電線に絡みついたツルは取れません。

 根元だけ切ってそのままです。

 「こうしておけば、ツルも自然に枯れて落ちてくるだろう・・・」

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 そして3日目の朝・・・

 当初の目論見どおり、ツルは枯れ、緑色に輝いていた葉っぱは茶色くしぼんでしまいました。

 でも・・・

 ツルは枯れ、緑色に輝いていた葉っぱは茶色くしぼんでしまいました・・・(わかりますか?)

 花だけが美しく凛々と咲き誇っています♪(拡大してみました(^^)/)

 ツルも枯れ、葉っぱも落ちた中で、花だけが美しく凛々と咲き誇っています。

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 コチサ
 「根も切られ、栄養分の補給も断たれたのに・・・生命の危険を感じたからこそ、大きくキレイに一花咲かせたんだ・・・」

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 自らの命が風前の灯火であることを知り、生命を繋ぐ為に全ての力を尽くして花を咲かせました。

 秋の高い空がやさしく見つめていました・・・

 そんな花を、秋の高い空がやさしく見つめていました。

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 昼下がり・・・

 昼下がり・・・

 老人用手押し車を押して歩いているおばあちゃんと、若いお母さんに手をひかれ歩みを覚えたばかりの女の子が出会いました。

 同じ町に住む初対面同士が、立ち止まって二言三言言葉を交わします。

 コチサがすれ違った時に聞こえた言葉です。

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 おばあちゃん
 「本当に可愛いなぁ・・・可愛くて嬉しくて涙が出てくる・・・」

 そう言葉を詰まらせました。

 女の子はポカンとした顔を上げ、お母さんは社交辞令と受け止めたか笑顔でお礼を繰り返していました。

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 「可愛くて嬉しくて涙が出てくる・・・」

 おばあちゃんのこの言葉に込められた本当の意味に気がつくには、コチサもこのお母さんもまだまだずーと先の事なのでしょう。

 それは社交辞令でも、単なるその場の感情でもありません。

 人生がこうして新しい息吹に脈々と受け継がれていく・・・

 そんな姿を、おばあちゃんの人生が感じ取っての、悟りゆえの言葉だったのだと思います。

 手押し車を押して遠ざかっていくおばあちゃんの後姿に、たくさんの毎日を生きてきた重みがどっしりと覆いかぶさっていました。

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 得意先のエレベーターで・・・

 得意先のエレベーターで・・・

 かつて仕事を共にした男性が降りてきました。

 そのエレベーターに乗ろうとしたコチサと、降りようとしているその男性・・・

 確かに目が合いました。

 「やぁ、こんにちは」

 そう言おうと、笑みを浮かべた瞬間、相手はすーと顔を背けました。

 「えっ?」

 件の男性は、瞬間的に気がつかなかったフリをすることを選んだようです。

 でもこれって意図的にした事ではありません。

 コチサと目が合ってから、その決断を下すまではほんの一瞬の出来事でした。

 「あっ」→「どうしよう」→「無視しよう」

 と考えて決断する状況ではありません。

 本能的に無意識に出てしまった行動が「無視をする」というものだったようです。

 その人のそれまでの人生が為させた決断です。

 実は、その男性については、都合の悪い人が多すぎて「よく逃げる」現場に遭遇したことがありますし、あまたの同様な話を聞いていました。

 ついにコチサも、逃げられる存在になったか・・・^-^;

 久しぶりの人間にあった時、

 「やぁ久しぶり」と満面の笑みを持って出会える無意識と、「とりあえず逃げる」無意識・・・

 出きればどこでも大手を振って歩ける、お天道様に後ろめたさの無い人生を生きていきたいなと、青空に思いました。

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 捲土重来・・・

 「明日、残念会をするので来てくれますか?」

 コチサ
 「勿論です(^o^)」

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 そこは・・・

 「残念会」とは名ばかり・・・

 笑顔と活気に溢れた会場でした。

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 「やぁー残念だったね(^o^)」

 「でも、何か清々しいね」

 「すごい経験をさせてもらいました」

 「生きているって素敵ですね」

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 そんな会話があちこちで流れています。

 笑顔が消えない残念会・・・

 きっとこれがいつの日か、

 「笑顔だらけのお祝い会」になるんだろうな。

 「捲土重来」・・・そんな言葉が重々しく感じられる、秋晴れのようなひと時でした。

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 そして・・・

 そして・・・

 天高い秋の一日。

 一張羅のピエロ衣装に身を包み、コチサは今日も下手くそな芸を恥じながら、イベント会場に出向くのであった^-^;

 コチサはイベント会場に出向くのであった^-^;

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