韓国映画「クラシック(日本公開名「ラブ・ストーリー」)」は、涙溢れる秀作でした。
ホタルの飛びかう河川でのラストシーンは、その映像の美しさもあって何度見ても心が洗われます。
ホタルの美しさ、はかなさに改めて感動したコチサは、
「ホタルが見たい!」
という衝動が抑えきれなくなってしまいました。
ん?
ホタル?
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すっかり東京人ぶって、「ホタルが見たい」などと言っているコチサですが、考えてみるとコチサの出身、香川の山奥はホタルの名所です^-^;
HPでも盛んに「ホタルの里」としてアピールしてます。
コチサも子供の頃、夏になれば蚊が飛ぶように、ホタルが飛ぶのに接していたはずです。
でも、情緒も風流も、三度のご飯以外は興味がなかったコチサにとって、ホタルは記憶にも残っていません^-^;
だからコチサにとって、ホタルは見たことがあるかもしれないけど、観たことがないものになっているのです。
「立派な都会人として、ホタルの感動を味わいたい」
そんな思いがふつふつと湧き上がってきました^-^;
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コチサ
「もしもし、今HPでそちらの観光案内を見て、お電話させていただいたのですが・・・」
観光課の担当者
「はい、なんでしょう?」
コチサ
「そちらはホタルの里なんですよね」
担当者
「そうです、美しいホタルの里です」
コチサ
「今月末にそちらに伺うのですが、ホタルはどこに行ったら見られますか?」
担当者
「こ、今月末ですか?・・・まだムリですわ」
コチサ
「えぇーーー(>_<)」
担当者
「失礼ですが、どちらからおいでになるのですか?」
コチサ
「東京に決まってるじゃん(^o^)」
担当者
「こちらは初めてですか?」
コチサ
「ん?・・・そうでもないけど、まぁ初めてです(今は都会人として生まれ変わったコチサだし^-^;)」
担当者
「では、他にもいろいろ見どころがございますので、少々お待ちいただけますか?」
コチサ
「はい・・・」
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小さな村の小さな観光役場です。
電話に保留機能さえありません。
受話器を通して、懐かしい訛りが聞こえてきます。
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「おい、大変や。
観光さんからの問い合わせや」
「ホタルが観たい言うとる」
「おらへんやろ、まだ」
「東京からや、
東京の人間はそんなの何もわかっておらん、
一年中おると思っとる」
「とにかく今月末や、
何か他のイベントは無いかぁ?」
「うどんはどうや?
○○屋の・・・」
「いや、○○公演で、
バルーンフェスタがあるでぇ」
「じゃぁそれ言うとこか?」
「牡丹も見ごろじゃ」
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受話器からは、コチサの良く知っているお店の名前や地名、お祭りが語られてきます。
コチサ
「あの頃と、何も変わってないんだなぁ、懐かしい^-^;」
役場での話し合いの結果が出たようです。
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担当者
「やっぱり、ホタルはムリですわ(いきなり訛ってるし^-^;)」
コチサ
「そうですか、大変残念です」
担当者
「そのかわり牡丹がキレイやで、こっちの花はまた特に色が鮮やかで美しいんでのぉー」
コチサ
「(知ってます^-^;)そうなんですか、じゃぁ牡丹でも観させていただきます」
担当者
「それから、春爛漫フェスタというのもやっとるけん。お恥ずかしい小さなイベントやけどな」
コチサ
「じゃぁ、それも楽しみにします。ありがとうございました」
担当者
「あのなぁ・・・」
コチサ
「はい?」
担当者
「ごめんなぁ」
コチサ
「えっ?」
担当者
「せっかく、わしらの町に来る気になってくれたのに、ホタルがおらんですまんのぉ(>_<)」
コチサ
「いえ、気にしないでください。弟が近くで結婚式をあげるので、ついでにと思って聞いてみただけですから」
担当者
「えっ?弟さんはこちらの人なんかい?」
コチサ
「(ヤバッ)い、いえ、弟も東京ですけど、お嫁さんになる人がそちらの出身だそうで・・・(アセアセ^-^;)」
担当者
「弟さんは、わざわざお嫁さんのためにこっちまで来て、式をあげてくれるんかね?」
コチサ
「い、いや、そうじゃなくて・・・弟はそっちの人間になるんです・・・(ますますアセアセ^-^;)」
担当者
「わざわざ東京から婿さんに来てくれるんかの(^o^)」
コチサ
「えぇ、まぁ^-^;」
担当者
「それはますます申し訳ないなぁ、ホタルがおらんで・・・」
コチサ
「いいんです、いいんです。そんなわけでこれからは夏休みにでも弟の家に行くことが出来ますから^-^;」
担当者
「そうですか?、そりゃ是非来てくんなさい。こっちは田舎やけど、住んでみるとよかところだとわかりますから(^o^)」
コチサ
「えぇ、えぇ^-^;(コチサはすでに充分知ってます(^o^))」
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別にいたずら電話をかけたわけじゃないけど、あまりの親切な対応に、なんか嘘つきのようになってしまったコチサです^-^;
子どものころ、なんであんなに美しい環境をしっかり目に焼き付けようとしなかったんだろう?
きっと・・・
いつもいつも、それが当たり前の光景になってしまっていれば、それがどんなに貴重で美しく、心の栄養として大切なものなのかなんて、誰も考えやしないんだ・・・