No.471 「校歌斉唱」 2004.12.20
 校庭

 日曜日の昼下がり、ランニングを終えてチンタラ散歩をしていると「校庭開放」されている小学校を見つけました。

 でもこの時期、校庭で元気に走り回っている子供はいません^-^;

 コチサ
 「子供は風の子なんだぞ、何で誰も走り回らないんだ。鼻水を袖で拭きながら元気に遊びまわるのが子供なんだぞ(`_')」

 誰とも無しに抗議をしながらブツブツつぶやいていると、年配の老婦人とその娘さんと思しきご婦人がやってきました。

 老婦人は車椅子に乗って、午後のお散歩のようです。

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 ご婦人
 「あらこの学校、2クラスになっちゃったのねぇ」

 老婦人
 「えっ?どうして?」

 ご婦人
 「ほら教室の窓に、1年1組、1年2組、2年1組、2年2組って書いて貼ってあるじゃない」

 老婦人
 「本当ね。6年生まで全部二組ずつだわ」

 ご婦人
 「私の時は4組まであったわ」

 老婦人
 「そうだったわね。あなたは1年2組だった・・・」

 ご婦人
 「そうそう。クラスは男女合わせて40名もいたわ。今は20名くらいなんですって」

 老婦人
 「私の時も4クラスだったわ。生徒はやっぱり40名くらいいたかしら?」

 ご婦人
 「お母さんの頃からじゃ学校も随分変わっちゃったでしょ。私の時からでも変わっちゃているんだから・・・」

 老婦人
 「校歌も変わったのかしらね?」

 ご婦人
 「♪みーどりに晴れたぁ、広庭の〜」

 老婦人
 「♪岸辺の木陰、椎の影〜、友呼ぶ声に風ヒカル〜」

 ご婦人
 「お母さん、私の子供の頃の歌覚えてくれてるのね」

 老婦人
 「違うわよ。私の時も同じ校歌だったのよ」

 ご婦人
 「へぇ〜そうなんだぁ。そんなこと初めて聞いたわ。何で子供の頃言ってくれなかったの?」

 老婦人
 「あなたが学校から帰ってきて校歌を歌う姿が好きだったのよ。自分の娘が自分と同じ時代を経験しているようでね・・・だから、なんかお母さんもその歌を歌えるわと言うのは、言いにくかったのかもしれないわね」

 ご婦人
 「じゃぁ今、もう一回一緒に歌いましょう」

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 ♪
 緑に晴れた、広庭の、岸辺の木陰、椎の影〜
 友呼ぶ声に風ヒカルぅ〜
 ○○小学校、良い学校

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 老婦人・ご婦人
 「ふふふ・・・」

 不覚にもそんな光景に出会い涙したコチサは、一目散に家に走りかえりました。

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 コチサ
 「ももも、もしもし」

 お母さん
 「な、なんやサチコ、慌てて」

 コチサ
 「お母さんてさ、長○小学校だよね」

 お母さん
 「そうやけど、なんなの、いきなり?」

 コチサ
 「コチサもさ、長○小学校なんだよ」

 お母さん
 「そんなん知っとるで、親なんやから」

 コチサ
 「お母さん、校歌歌おうよ」

 お母さん
 「なんや、急に」

 コチサ
 「いいから、歌うでぇ

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 長○小学校(^^♪
 土器の川原を下に見てぇ〜
 夕日に映える高い窓ぉ〜
 長い廊下を一筋にぃ〜
 白い校舎が美しい〜

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 お母さん
 「ちょっと待ってぇ、そこ違うでぇ」

 コチサ
 「へっ?」

 お母さん
 「お母さんの時は、♪ヨの字の校舎が美しい、やったで」

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 コチサの母校でもあり、お母さんの母校でもある香川県長○小学校は、お母さんの時代とコチサの時代の間に、木造校舎から白い鉄筋校舎への建て替えがあったようです。

 それで、これまで「ヨ」の字型だった校舎が無くなってしまい、それに伴い歌詞も変えたそうです。

 同じような変更は、歌詞の2番、3番にもありました。

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 コチサ
 「同じ校歌でも少しずつ変わっていくんだね」

 お母さん
 「そうやな」

 コチサ
 「お母さんは、コチサが子供の頃、小学校の校歌を歌ってるのを見てどう思ったの?」

 お母さん
 「何が?」

 コチサ
 「何がじゃないよ。『あなたが学校から帰ってきて校歌を歌う姿が好きだったのよ。自分の娘が自分と同じ時代を経験しているようでね・・・だから、なんかお母さんもその歌を歌えるわと言うのは言いにくかったのかもしれない』とか、そんな感じは無いの?」

 お母さん
 「お母さんはな、お前が校歌を歌っている姿を見て、わたしの子供の頃の方が、もう少し歌が上手だったと思った事を覚えとるで」

 コチサ
 「(`_')」

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 コチサの田舎では、母親と娘が同じ小学校に行っていたという事はめずらしくありません。

 おばあちゃんの代から三代という例もあります。

 東京ではあまり考えられないことかもしれません。

 だから、散歩の途中で出会ったあの老婦人とご婦人は珍しい経験をされているのかもしれません。

 自分が母親になって、その娘が小学校に上がる。

 それだけでも嬉しいことなのに、娘の小学校が自分と同じ学校で、自分が歌った校歌を歌っている姿は胸に熱く来るものがあるのでしょう。

 自分が無邪気に歌っていた校歌・・・

 あの時、歌詞の意味もわからずに、こうな風に歌っていたっけ・・・

 輝く未来を信じて疑わないこんな瞳を、あの時の自分もしていたんだ・・・

 校歌は、時を隔てた二人を同じ年齢に引き戻し、同じ空間にいながら違う時間の青春で熱き思いを共有させてくれるという、不思議な力を持っている事を知りました。

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 コチサ
 「お母さん良かったね。二人は、同じ小学生の時代を一緒に感じあえる大切なものを持っているんだね(^o^)」

 お母さん
 「それを言うたら、園子も浩二も同じ小学校やで」

 コチサ
 「(ちっ、またあいつらか^-^;、あの二人のせいで、コチサは子供の頃からお母さんを独り占め出来なかったのにぃ〜)」

 お母さん
 「それにお父さんも同じ小学校やで(^o^)」

 コチサ
 「(げっ、あのハゲ親父もかいな^-^;)」

 ここまで揃いすぎると、なんだか美しい話も色褪せてしまうようで・・・(ーー;)

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 長○小学校(^^♪
 ボクもあなたも手を取って
 平和の国を築くため
 強く正しく生き抜こう
 われらの長○小学校

 オッー!!!オー(^O^)/

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