No.423 「コチサニュースの罠、その1」 2004.7.6
 Tシャツ

 コチサの熱心なサポート隊の部長・左衛門君が、本業の部長職を解任され「リストラ」という世間の荒波に飲み込まれたのは、去年の4月のことでした。

 左衛門君に非があった訳ではなく、不景気の中での会社側の都合であるのは誰の目にも明らかでしたが、そこはサラリーマンの宿命と、左衛門君はあっさり早期退職者の求めに応じました。

 30数年のサラリーマン生活に別れを告げた左衛門君は、暫くは悠々自適の暮らしをしていましたが、意外と再就職が難しいことに気がつきました。

 『いやーのんびりできるのは良い事ですよ』
 と豪快に笑っていたのですが、

 『捜してみると、意外と仕事って無いもんですね』
 と静かな微笑みに変わり、

 『やっぱり年齢のせいなんですかね』
 最後は自嘲気味の皺まじりの笑顔になっていきました。

 しかぁ〜し・・・

 そんな左衛門君に、数十回の面接を経て、ついに内定が来たのは、文字通りに「春」が来た、この4月の事でした(^o^)

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 茶色いサンダル

 そして7月のある暑い夜のことでした・・・

 とある、お座敷のお店で・・・

 コチサ
 「やぁやぁ、お久しぶり、まぁ一杯、ぐぃーっと^-^;」

 左衛門君
 「ありがとうございます。随分ご無沙汰しました」

 コチサ
 「本当だね。それでも休職中は時々は連絡を取ってくれてたけど、仕事が決まって勤めだしてからは全く音沙汰がなかったよね」

 左衛門君
 「朝7時に出かけて、帰るのは深夜の1時過ぎなんていうのが、ずーっと続いていたんですよ」

 コチサ
 「それはこの一年間なまっていた体には堪えますね^-^;」

 左衛門君
 「別になまっていませんよ。一年間遊んでいたわけではないですし、ちゃんと外を駆け回って就職活動をしていたわけですから(`_')」

 コチサ
 「しかし、どんなに忙しくても勤め出して丸々2ヶ月もコチサに近況を報告しないのはいかがなものでしょうか・・・それが命の恩人に対する態度とは思えないよ」

 左衛門君
 「私、いつ命を助けられましたっけ?」

 コチサ
 「人はね、気づかぬところで、人に助けられていたりするものですぞ!」

 左衛門君
 「ぞ!って言われても・・・^-^;」

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 ワンピース姿

 なんだかんだ言っても左衛門君の顔は、生き生きと輝いています。

 『この歳になって・・・』とか『特殊技能はなかなか評価されなくて・・・』などと落ち込んでいた姿からは、180度変わっています。

 仕事って毎日働いていると嫌な日もあるけど、それが全く無くなると、人間からモチベーションを奪ってしまうものだということがよくわかりました。

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 左衛門君
 「あの頃は私も随分落ち込んでいて迷惑をかけました」

 コチサ
 「まぁ人間、照る日もあれば曇る日もあるさ(^o^)」

 左衛門君
 「あの頃の私って、格好のコチサニュースのネタになりそうな人間でしたよね」

 コチサ
 「そうだね。書きたくてうずうずしたこともあったね^-^;」

 左衛門君
 「それをよく抑えてくれて・・・左衛門のサの字も出さないでくれましたね」

 コチサ
 「まぁね。コチサにも人の心はあるからね(^o^)」

 左衛門君
 「ありがとうございました」

 コチサ
 「なんの、なんの」

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 白いサンダル

 元気一杯の仕事に燃えている人を見るのは誰にとっても気持ちの良いものです。

 左衛門君の元気さを店内の人たちは敏感に感じ取ったようで、雰囲気が一気に明るくなった気がしました(^o^)

 お店のおばちゃんが陽気に声をかけてきました。

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 おばちゃん
 「なんか今日はお店が明るくなって・・・私も気分がいいから何かサービスさせて下さい」

 コチサ
 「じゃぁ白焼きを^-^;」

 おばちゃん
 「はいよ、白焼き一枚、肝吸い付きでぇ〜」

 コチサ
 「ありがとぉー( ^3^)/」

 左衛門君
 「コチサさん、白焼きってことは、ここは鰻屋さんだったんですね^-^;」

 コチサ
 「そだよ、入ってわからなかった?」

 左衛門君
 「いや、そういうことじゃなくて・・・^-^;」

 コチサ
 「もう満腹・・・鰻がお腹の中で泳いでるよ。さっ、もう帰ろうか」

 左衛門君
 「あのーコチサさん、これ・・・」

 コチサ
 「なに?」

 左衛門君
 「プレゼントって言うのもおかしいですが、休職中はいろいろ心配していただいたお礼とでも・・・」

 コチサ
 「(包みを開けて)い、いかんよ、左衛門君。こんな高価な品々は受け取れないよ^-^;」

 左衛門君
 「品々?」

 コチサ
 「ん?」

 左衛門君
 「いや・・・別に・・・」

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 コチサとしても、お友だちとして心配をするのは当然のこと。

 左衛門君の好意は嬉しいのですが、ここは気持ちだけということにするのが大人の態度です^-^;

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 左衛門君
 「大したものではありませんからお気遣いなく受け取って下さい。本来なら、初任給の全てをつぎ込んで贈り物をしたいくらいですが、私も生活のある身ですから、給料の半分しか使っていません」

 コチサ
 「そうなの?(^.^;・・・じゃぁもらっちゃうよ^-^;、ありがと」

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 ソファー

 長い休職期間から開放されて、今は忙しさを嬉しいことのように受け取って頑張っている左衛門君ですが、あまり無理はして欲しくない気がします。

 振り子のハリが、あっちもこっちも触れすぎるのは一時的には刺激的な人生ですが、長い目で見たらやっぱり「?」です。

 モチベーションを維持できる仕事と生きがいがあって、それをバランスよく配置する日々の生活・・・

 例えば、一気に給料の半分をコチサにプレゼントしちゃうなら、毎月10%ほどを絶え間なく渡し続ける方があげる方ももらう方も気持ちがいい・・・^-^;

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 左衛門君
 「じゃぁ、このプレゼントはいらないってことですか?」

 コチサ
 「いやそれはいただいておくよ^-^;・・・ただ左衛門君には、これからはゆっくりしたマイペースの生活を送ってもらいたいなと思ってさ(^o^)」

 左衛門君
 「じゃぁ10%の話は余分なんじゃないですか?」

 コチサ
 「そ、それはオチだよ、オチ^-^;。ほらコチサニュースにはオチがなくちゃさ^-^;」

 左衛門君
 「そのことなんですけど・・・」

 コチサ
 「ん?」

 左衛門君
 「今回のコチサニュース、このまま進んでもどうもオチが無いような気がするんですけど・・・」

 コチサ
 「そうかい?」

 左衛門君
 「いや、私は嬉しいんですよ。こうして文章で祝ってもらえて・・・ただこれを読んでいる世界中のコチサニュースファンには決して面白いオチにはなっていないような気がするんですけど・・・」

 コチサ
 「大丈夫だよ^-^;」

 左衛門君
 「はい?」

 コチサ
 「このコチサニュース、多分次回に続くと思うよ^-^;」

 左衛門君
 「どういうことですか?」

 コチサ
 「まぁまぁ、とりあえず今回は、左衛門君再就職おめでとうございました、ということで^-^;」

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 ベッド

 そして夜は更けていくのであった・・・チャン、チャン^-^;

 次号に・・・たぶん・・・つづくε=ε=┏( ・_・)┛

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