今年も「ひな祭り」がやってきました。
コチサには、ひな祭りと言うとあまり楽しい記憶が蘇ってきません。
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幼少コチサ
「おばあちゃん、何やってるん?」
おばあちゃん
「あぁ、今年もおひな祭りがやってくるけんの、お雛さまを出しとるんや」
幼少コチサ
「ε=ε=┏( ・_・)┛」
おばあちゃん
「ん?サチコ、どこへ行くんや?」
幼少コチサ
「おかあさん、た、大変だよ。おばあちゃんがおひなさま出してる」
おかあさん
「そりゃ良かったなぁ、おひな祭りは女の子のお祭りや、サチコのお祭りやで」
幼少コチサ
「ε=ε=┏( ・_・)┛」
おかあさん
「ん?サチコ、どこへ行くんや?」
幼少コチサ
「お父さん、大変だよ、今年もまた来てしまったよ」
お父さん
「ん?」
幼少コチサ
「おひなさまだよ、今おばあちゃんが押入れから出してるよ」
お父さん
「ほうー、それで血相を変えて走り回っとるんやな」
幼少コチサ
「これは何とかしないと大変なことになっちゃうよ」
お父さん
「もう間に合わんかもしれんぞ、今頃はおばあちゃんも飾り終わっとるところやろ」
幼少コチサ
「ε=ε=┏( ・_・)┛」
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コチサ家のお雛さまは、それはそれは歴史のある立派なものでした。
コチサは益田家の惣領娘でもあるので(でも惣領の甚六じゃなかったぞ^-^;)、家宝のお雛さまが引き継がれたのでした。
基本的にお人形さん遊びなどは全く興味が無かったコチサは、家宝のお雛さまをいただいたところで別段嬉しくは無かったのですが、その時点では別に嫌なこともありませんでした。
そのひな壇は4段飾り。
お内裏さまとお雛さま、そして三人官女と五人囃子、四段目には菱餅や甘酒や雛アラレが飾られています。
コチサは毎日、そのお菓子を失敬するのが楽しみでした。
3月3日の当日は、そのひな壇を背景にきれいな座布団に座って写真を撮るのが恒例でした。
今でも、1歳、2歳、3歳・・・と内裏雛に見守られて成長していくコチサの姿が残っています。
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ところが・・・
ある日ある時、コチサに妹が生まれたのです。
コチサは2700グラムの赤ん坊でしたが、妹は3500グラムもありました。
コチサはこの妹が大好きで、よく抱っこしていたのですが、スタート時の体重の差もあり、いつの頃からかその体の大きさはコチサを追い越していきました。
ある頃になると、抱っこしているコチサが押しつぶされそうになっている写真が続々と出てきます(^^;
で、妹が生まれたので、お父さんやお母さん、おばあちゃんおじいちゃんたちは、妹にもお雛さまが必要だと思ったようです。
しかし一家に2つのひな壇は大袈裟すぎます。
するとある日、我が家に、大きな大きなお雛さまが2体やってきたのです。
それはお雛さまというよりも、身の丈1メートル50センチくらいの日本人形でした。
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幼少コチサ
「な、なんじゃこりゃ?」
おばあちゃん
「園子のお雛さまじゃよ、可愛いじゃろ」
幼少コチサ
「うわぁぁぁーん(;_;)」
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最近、日本映画はホラー映画が人気ですが、テレビの予告などでよく出る着物を着たおかっぱ頭の女の子・・・
まさにそれです。
なんで?
どうしてこれがお雛さまなの?
コチサの抗議も虚しくその巨大お雛さまは、それから毎年、コチサの四段飾りのお雛さまの両脇に聳え立つようになりました。
そしてそれ以来コチサにとって、お雛さまの部屋は恐怖の部屋と化し、雛アラレや菱餅の誘惑をしても、コチサをその部屋に入らせる事は出来ませんでした。
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おばあちゃん
「サチコ、園子、さぁ写真を撮るで、お雛さまの前に来いよぉ」
幼少コチサ
「行かん」
お母さん
「何言いよんな?園子はもう待っとるで」
幼少コチサ
「行かん、新しいお雛さまが好かん」
お父さん
「何言うとるんじゃ、早よ来い」
幼少コチサ
「ε=ε=┏( ・_・)┛」
お父さん
「こら、待たんか」
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結局、追いつかれて抱き上げられてお雛さまの部屋に連れ込まれるコチサ。
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幼少コチサ
「嫌じゃぁ、放せー、わからんのかぁ、人形の髪が昨日より伸びているのがどうしてわからんのじゃー!!!」
お父さん
「何、バカな事を言うとる、人形の髪が伸びるわけないやろ」
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恒例のコチサのお雛さま写真は、この後、数年間のコチサの苦悶の時代を物語っています。
泣きべそをかき、大きな妹に押しつぶされそうになりながら抱っこしている、悲しい画像が続いていきます^-^;
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コチサ
「君が生まれてから、コチサの3月3日は、恐怖の雛祭りになったんだよ」
園子
「そうだね、確かに怖かったよね、あの人形」
コチサ
「あれまだあるの?」
園子
「あるんじゃない、押入れのどっかに」
コチサ
「何でおばあちゃんは、あんなドデカイ人形を買ってきたんだろ、150センチだよ、150センチ」
園子
「でも私の為でしょ。私も怖かったけど、その気持ちを考えると怖いって言えなかった」
コチサ
「コチサは夢で何度もうなされたよ。あの人形が話しかけてきたり、気がつくと髪が伸びているんだよ」
園子
「コチサ姉はいつもそう言って泣いてたよね。その度におばあちゃん、悲しそうな顔をしてたよ」
コチサ
「・・・」
園子
「だからあたし、コチサ姉が少しでも怖がらないようにって、毎年ひな祭り前になると、おばあちゃんより先にあの人形押入れから出して、伸び放題になっていた髪を切ってあげてたんだよ」
コチサ
「な、何?」
園子
「毎年、前髪の揃いが不規則だったでしょ、でも子供だったからうまく切れなくてさ・・・お人形も勘弁してくれるよね」
コチサ
「そ、そういことじゃなくて・・・そ、園子、さぁ、な、何言っちゃってるんだよ、ははは・・・^-^;
」
園子
「よく写真を見てみてごらんよ、確か私が3つの時のやつ・・・あの時は髪切ってる時におばあちゃんの足音がしたんで慌てててね。はさみで額を傷つけちゃったの。人形のおでこのところから血が出てるでしょ。あれ私のせいなの」
コチサ
「そ、そ、園子ぉ・・・(・・;) 」
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か、怪談にはまだ少し早すぎるぜ(´ヘ`;)