おばあちゃん
「お金いうのはな、この川と同じなんやで」
コチサ
「何言ってんの、おばあちゃん。お金はお金、川は水、全然違うよ」
おばあちゃん
「川の水はこうして流れているからきれいな水やろ、誰でも飲みたい時に、こうしてすくって美味しい水を飲める。でも誰かが、この水は自分のものやからいうて、この流れをせき止めたらどうやろ、水は貯まらんばかりか、よどんで濁って汚いものになる。お金も同じや」
コチサ
「お金は、川じゃないじょ〜」
おばあちゃん
「一緒や。お金もな、入ってきたものは気持ちよく出す、川のような流れを作らんといかんのや」
コチサ
「でも、お金は貯めないと無くなっちゃうんだよ」
おばあちゃん
「川の水はなくならんやろ。お金も誰かが流れをせき止めんかったら、ちゃんと流れるんや」
コチサ
「じゃぁ、せき止めた人は大金持ちだね」
おばあちゃん
「違うで。川の水をせき止めたら淀んで濁るように、お金をせき止めたらきれいなお金にならん」
コチサ
「コチサは、汚いお金でもせき止めて貯めた方がいいじょ〜」
おばあちゃん
「お前、いっぺんこの川に落ちてみるか(`_')」
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コチサが少し成長して、おばあちゃんの言う事が理解できたとき、コチサは思いました。
「それは、きれい事だよ。お金は貯めなくちゃね。人生何があるかわからないんだから・・・」
しかし、コチサにお金が貯まる事は決してありませんでした。
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お母さん
「不思議やなぁ、お前のようにケチしてて貯まらんいうのは・・・」
コチサ
「そうなんだよ^-^;。コチサは貯めたお金は絶対に出さないって決めてるし、人からものをもらっても、決して人にあげないように心がけてるし・・・どこがいけないんだろうね」
お母さん
「(>_<)」
コチサ
「園子や浩二はさぁ、すぐに自分からお金出すじゃん。コチサなんて二人から随分ご馳走になったよ。でもコチサは一回もご馳走した事はない。それなのに、あの二人はいつもお金に困ってないよ・・・もしかして、お母さん、コチサに内緒で二人におこづかいあげてるんじゃないの?」
お母さん
「お前、あの時、おばあちゃんに川に突き落としてもらえばよかったな(`_')」
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そしてもう少し大人になった時、確かにお金には流れがある、その流れをせき止めてはいけないという事が漠然とわかりました。
妹や弟は、いつも自然にそうやって、お金の流れを作っていたのです。
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コチサ芸域拡大委員会の会長は、コチサをはじめ多くのボランティア活動をされていますが、決して殿様の子孫とか皇帝の末裔とかの、使い切れないお金を持って生まれてきた人ではありません。
しかし会長を見てると、お金を川の流れに例えるおばあちゃんの言葉がよくわかります。
会長は、その流れに決して「躊躇」を持ち込みません。
まさに川の流れのように自然に、お金を流します。
そしてそれは決して、浪費家とか贅沢とか言われる類の流れ方ではありません。
必要なときに必要な流れを、ごく自然に作っているに過ぎません。
だから会長の川はきれいで淀みません。
そして上流からはいつも新しい水が流れてきます。
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会長
「川の水は絶えないのだから、流れさえせき止めなければ、上から新しい水が流れてくるのは当然です」
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かなり大人になった時、コチサはこのお金の流れの極意を、ついに理解しました。
じゃぁ、コチサはもうお金持ちです\(^o^)/
・・・と思うのはまだ早い・・・
おばあちゃんの言った事は真実でした。
だから、川の流れさえせき止めなければ、誰でもお金には困らないのです。
でも、コチサのように性根の底の底からの吝嗇家(つまりケチだね^-^;)は、どうしても流れをせき止めてしまうのです。
川の水を淀ましてしまうのです。
わかっていても、してしまうのです、本能なのです^-^;
世の中には、誰もが納得する「栄光への道」があっても、全ての人がその道を歩めない事がわかりました。
手段や方法さえわかれば、すべてうまく行くと思っていたコチサには、大きなショックでした。
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コチサ
「うー、お金の流れをどうしても止めてしまうのじゃぁ。手が、手がお金を掴んだら二度と放しとうないというんじゃぁ・・・」
会長
「急には無理ですよ。ゆっくりやっていきましょうよ。はいこれ」
コチサ
「ん?何これ?」
会長
「財布ですよ。以前コチサニュースに書いていたじゃないですか。財布は自分よりお金のある人からもらうとお金が貯まるって。私は決してお金持ちじゃないけど、川の流れをせき止めない人間になる習慣は身に付くかも知れませんよ」
コチサ
「ありがとう(^o^)そういうところなんだよ、会長が無意識に、お金の流れを作り出しているのは・・・」
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方法がわかったけれど、それを成し遂げられない事もわかったコチサは、生涯川の流れをせき止めていく人間として生きていくのでしょうか・・・
まぁ、仕方が無い・・・
それも人生、コチサはコチサとして生きていく事に決めました。
ところで、ふと気がつきました。
この事務所、なかなか大きくならない・・・
もしかして、こいつも(;¬_¬)
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コチサ
「お互い、もう治らないんだね」
社長
「ん?何?」
コチサ
「まぁ、細々と会社を運営していきなよ」
社長
「だから何?」
コチサ
「ほら、この財布、いいでしょ」
社長
「あー、欲しい」
コチサ
「やっぱり(;¬_¬)」
社長
「な、なんだよ、その目は?」
コチサ
「まぁ、それでも生きなきゃならんのだよ、われわれは」
社長
「・・・」