営業さん
「コチサさんて、世界のMCなんですよね」
コチサ
「ん?」
営業さん
「いや、ホームページに書いてありましたけど・・・」
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いやぁーすっかり忘れていました、その新鮮な響き^-^;
最近は大道芸だ、パフォーマンスだとあっちこち顔を出していたし・・・
名刺の肩書きも「ボイス・パフォーマー」だし・・・
世界のMCコチサであることが自分自身薄くなっていました。
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コチサ
「いや失敬。何を隠そう私が世界のMCです」
営業さん
「やっぱりそうでしたか」
コチサ
「で、その世界のMCコチサに何か?」
営業さん
「そのぉー、世界のMCと普通のMCって何が違うんですか?」
コチサ
「難しい質問ですな。まぁどちらかというと観念的な問題なんでね。それをまとめるとA4で100ページ位になっちゃうんだ^-^;」
営業さん
「もっと見た目でわかる決め手はないですかね」
コチサ
「見た目?・・・そうだなぁ、まぁ世界のMCはマイマイクを持ってるよ」
営業さん
「マイマイクですか?」
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コチサ
「そう例えばこれ、世界のコチサのオリジナル仕様、ブラックダイナミックマイクです、じゃーん!」
営業さん
「はぁ・・・」
コチサ
「それにこれが、マイポップガード!じゃーん!」
営業さん
「コチサさんの鞄がいつも大きくて重そうなのは、これが一式入ってるからですか」
コチサ
「まぁね」
営業さん
「でも、マイマイクを持ってるMCさんなら他にも知ってますけど、その人は世界のMCって言ってませんよ」
コチサ
「(`_')・・・そ、それは、その人がマイ・マイクを一本しか持ってないからだよ」
営業さん
「?」
コチサ
「世界のMCはね、マイマイクを2本は持ち歩かなくちゃならないんだよ」
営業さん
「本当ですかぁ?」
コチサ
「なんだよ、その疑わしそうな目?」
営業さん
「いや、別に・・・な、なんですかその大きなジュラルミンのケースは?」
コチサ
「マイ・マイクその2だよ」
営業さん
「本当に、2本持ち歩いているんですか、すごーい」
コチサ
「じゃーん!マイクにはこのコチサ仕様のブラック・ダイナミックマイクと、こっちのコチサ仕様のコンデンサーマイクがあるんだよ」
営業さん
「そのマイクすごいっすね、昔のNHKの歌合戦のマイクみたいっす」
コチサ
「これはね、プロ中のプロ、歌手でいえばエディット・ピアフさんとか越路吹雪さん、語りで言えば徳川夢声さんなんかが使ってはじめて生きてくるマイクなんだよ。コチサにぴったりでしょ」
営業さん
「古いっすね」
コチサ
「古くないさ、新品も新品、まだピッカピカさ(^-^)」
営業さん
「いや、その話の登場人物ですよ。その時代にそのマイクあったんすか?」
コチサ
「それは例えばの話だよ、話のあやだよ^-^;」
営業さん
「じゃぁ、今日の仕事は、そのマイクの声で聞かせて下さい」
コチサ
「それがね・・・」
営業さん
「えっ?」
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コチサ
「作動させる為には、ファンタム電源が必要となります。
最良の結果を得る為に、48Vのファンタム電源を使用して下さい。
大半のプロ用ミキサーには、48Vのファンタム電源が内蔵されており、また電源のみを単体で購入する事も出来ます。
お客様のご使用になっているパワーサプライが、正確に作動するプロ用のユニットであるかどうか必ずご確認下さい。
間違ったパワーサプライを接続して起こる損傷につきましては、保障が適用されません・・・
というわけなんだよ」
営業さん
「というわけってどういうわけですか?」
コチサ
「だから、そういうわけだよ」
営業さん
「なるほど、すごい立派なマイクを手にして嬉しくて自慢げに持ち歩いているけど、使い方が難しくてよくわからないって事ですか?
それに、ファンタム電源とか意味わからなくて、間違ったパワーサプライを接続して起こる損傷が怖くて、ただ眺めて喜んでいるって事ですね」
コチサ
「君は失敬な人だな(`_´メ)」
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いいんだ、いいんだ。
コチサだって勉強して、今度は自由に使えるようになってやるんだい。
必要なら、プロ用ミキサーもリュックサックに詰めて、毎日持ち運んで歩いてやるんだ。
それが世界のMCの試練なんだと思えば、重くないやい。
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営業さん
「宝の持ち腐れっすかね?」
コチサ
「(今に見ていろ(`_'))」