No.332「段取りくん!」  2003.8.11

 写真・・・ぶたさん

 コチサの師匠のチャックは、結構いい加減な人間です(^o^;

 ・・・何しろ段取りを組まないタイプですから・・・

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 師匠

 「あのさ、桜美林大学へパントマイムの講師に行くんだけど、君がアシスタントだからね」

 コチサ

 「えっ?」

 師匠

 「じゃぁ、当日10時に現地で、バッハッハーイ」

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 バッハッハーイって、今時ケロヨンを知っている人が、世の中に何人いるというのでしょう。

 雑学博識なコチサだから(そう博識なだけです、リアルタイムで見ているわけない(^^;・・・念のため)、木馬座アワーだとわかりますが・・・

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 写真・・・女の子1

 さて、それでも言いつけを守り、当日10時に現地に駆けつける律儀なコチサ。

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 師匠

 「じゃぁ、本番行こうか」

 コチサ

 「あ、あのさ師匠、少しは何をやるか、構成をどうするか、ネタ合わせをしませんか?」

 師匠

 「そうだね。じゃぁ僕がこうして、グッと構えるから、君はガーっとやって、ギュッとやって、ワーって行こう」

 コチサ

 「(長島監督かい(^^; ....)」

ライン

 写真・・・女の子2

 ということで、段取りが全く無いまま、200名が待つパントマイム公演会場へ

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 師匠

 「ハイ、マイク。MCよろしく。あっ僕、華々しく出たいから、大げさに宣伝してね」

 コチサ

 「ちょ、ちょっと、MCって・・・聞いてないよ」

 師匠

 「大丈夫だよ。世界のMCでしょ」

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 世界のMCと言われちゃうと、コチサの魂が燃えちゃって躍動しちゃいます。

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 コチサ

 「本日は、お暑い中、桜美林大学パントマイム講座にようこそいらっしゃいました。今日は皆様にパントマイムの極意と魂を盗んでいただいて、世界中にパントマイムの輪が広がります事を願って・・・」

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 いったんマイクを持って話し出した世界のMCは、もう止まりません。

 袖で、師匠が何か口をパクパクやっているので、早く登場したいのだとわかりましたが、もう少し続ける事にしました。

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 コチサ

 「・・・という事で、本日の講師チャックの登場です・・・が、その前に、私コチサが、風船パフォーマンスを披露したいと思います」

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 写真・・・くまさん

 せっかくポケットに入れてきた風船を使わないのは面白くなので、この場を借りて、得意のプードルと、苦手のクマを作りました。

 やんやの喝采です。

 会場からのリクエストもあって、風船プードル講座になってしまいました。

 コチサが会場を回っていると、別な一角で、風船作りを教えている師匠が見えました。

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 コチサ

 「なんだ、我慢しきれなくなって出てきたんじゃん」

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 写真・・・ねことピアノ

 派手な登場はあきらめて、いつの間にか勝手に登場して仲間入りをしています。

 この講座に参加してくれた人は、みんな幼稚園の先生になる人たちの集まりです。

 本格的にパフォーマーになるのではなくて、子ども相手にいろいろなアイテムを持っていたいという中での、一つの引き出しとしての参加です。

 だから、楽しみながらも真剣に風船作りに取り組んでくれました。

 予定の3時間はあっという間に過ぎて行きました。

ライン

 コチサ

 「お疲れ様でした」

 師匠

 「お疲れ」

 コチサ

 「いやー楽しかったですね」

 師匠

 「あのさー、今度こういう仕事のときは、事前に打合せしてからやろうね」

 コチサ

 「ん?」

 師匠

 「ほら、段取りとか、そういうものを組まないとさ、誰が主役で誰がアシスタントかわからなくなっちゃうじゃない」

 コチサ

 「そうですかぁ?」

 師匠

 「うん。今回だってさ、主役は僕でしょ、でもなんかさ、一番多くマイクを持っていたのはさ・・・」

 コチサ

 「あっ、電車来た。コチサはこっちの電車だから、じゃぁ師匠、バッハッハーイ」

 師匠

 「・・・」

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 段取りは必要です。

 段取りが決まっていないで、コチサにマイクを渡したりしたら、それこそ自分の出番は無くなってしまいます。

ライン

 写真・・・でんわ

 数日後・・・

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 パフォーマーのりょうちゃん

 「あのさ、今度のステージ、あたし出るんだけどさ」

 コチサ

 「はい、よろしくです」

 りょうちゃん

 「おたくの師匠何かあったの?」

 コチサ

 「どして?」

 りょうちゃん

 「進行表がファックスで送られて来たの。長い付き合いでこんなの初めて」

 コチサ

 「あぁ、それ、こっちにも来たよ。当日コチサがMCやるからだよきっと」

 りょうちゃん

 「どゆこと?」

 コチサ

 「いや別に・・・でも進行表、無いよりあった方がいいでしょ」

 りょうちゃん

 「そりゃそうだけど、こんなのあるとけっこう緊張するよね」

ライン

 写真・・・ブリキの車

 舞台進行のMC経験の長いコチサは、進行表があるのが当然の生活を送ってきました。

 大道芸に命をかける師匠をはじめパフォーマーの人たちは、いつどんなアクシデントがあるかもわからない中での路上ステージですから、進行表など役に立たない生活だったはずです。

 コチサにとっては、最初の頃は戸惑ったけれど、師匠のパターンに慣れる事は、MC活動にも役に立つ広がりを持たせてくれる事でした。

 別な分野の別な側面を吸収する事になり、人間的にも成長する事になりました。

 でも師匠にとって、今さら「段取り」の世界を経験する事はどうなんだろう?

 思っても見なかったことかも知れません。

 でもお互いが、それぞれの世界の経験を活かしあってこそ、より大きな新しい自分に成長できるのだと思って・・・(^_^)v

 次回のピエロは、段取りありのステージです。



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