No.325「再開にあたって・・・」  2003.7.22

 写真・・・空

 やぁやぁ、コチサです。

 長い間、お時間を頂戴してしまいました。

 最後に更新のマイクに向かってから、随分と時間が過ぎました。

 ほこりを被ったマイクに息を吹きかけ風に飛ばして、ついでにいろんな思いも風に飛ばして、ちょっとだけ緊張して今、コチサボイスの録音が終わりました。

ライン

 コチサ

 「やぁやぁ、コチサだよ」

 お父さん

 「なんや、お前か」

 コチサ

 「お誕生日、おめでとう」

 お父さん

 「そうやったかの。なんや、おまえのせいで、忘れてしもたわ」

 コチサ

 「迷惑をかけたね」

 お父さん

 「まぁ、親が子に迷惑をかけるより、かけられた方が幸せやと思わなあかんからな」

 コチサ

 「困った娘で・・・」

 お父さん

 「ほんまにのぉ」

 コチサ

 「でも、そこがまた可愛い娘で・・・」

 お父さん

 「それはないぞ」

ライン

 写真・・・バラの花

 お父さんの誕生日は、大好きな晩酌がこの日だけは2本にしてもらえる、お父さんにとっては至高の時です。

 なんとかこの日までには元気に復活しとかないと、おいしいお酒を飲んでもらえません。

 ようやく間に合った電話の声は、いつものお父さんの声でした。

 おいしいお酒を飲んで、ちょっとだけ上機嫌の、いつものお父さんの声でした。

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 子供の頃、この声があまり好きではありませんでした。

 お酒を飲んだお父さんは、どこででも寝てしまうので、お母さんとおばあちゃんが、布団まで引きずって行くのを見ていたからでした。

ライン

 コチサ

 「お酒飲まなければいいのに・・・」

 お母さん

 「お父さんの、たった一つの楽しみや、飲んだからってどうなるわけでもない。ただ寝てしまうだけや」

 コチサ

 「お酒って美味しいのかな?」

 お母さん

 「さぁな。お前も大きぃになって、飲んでみたらわかるで」

ライン

 結局、コチサは成人しても、体がお酒を受け付けることなく、お父さんの楽しみはわからないままでした。

 ただ、やっぱりお酒は飲まないお父さんが好きだなと思っていました。

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 写真・・・電線

 「平凡である事」「いつもと同じ明日が来ること」は、実はとても平凡な事ではない貴重な事で、大切に味わっていかなくてはならない事だと気がついたのは、随分後になってからでした。

 子供の頃、風邪を引いて熱を出すと、お母さんは優しくなり、お父さんは果物を買ってきてくれました。

 いつもと違うお父さんとお母さんを、自分だけのものにしたようで、とても嬉しかったのを覚えています。

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 写真・・・ブタ

 でもいま・・・

 娘が病気になって、父親の憎まれ口が消えたり、母親がとても親切に身の回りの心配をしてくれる事は、実はとても悲しい事だと思っています。

 お父さんの誕生日までに、お父さんがいつも通りに、2本の晩酌が飲めて、お誕生日おめでとうの電話に憎まれ口で返事を返すこと・・・

 それがコチサの入院中の目標でした。

 そしてぎりぎりだけど・・・セーフ!

ライン

 写真・・・サンダル

 コチサのボイスプレゼンテーション、再開初回のコチサニュースは、応援して励ましてくれた皆様をさしおいて、親不孝コチサが、両親への感謝の気持ちを捧げてしまいました。

 個人的な内容の再開で、ごめんなさい。

 そして、入院中にさまざまなアイデアを凝らして、コチサを元気づけてくれた皆様、本当にありがとうございました。

 辛口コチサに一層磨きをかけて、コチサニュース、次号から早速全開です。



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