No.310「ゴムの髪留め!」  2003.4.14

 イラスト・・・ピアノ

 コチサの姪っ子(妹の子供)ブーフーウーの二番目も、小学校に入学となりました。

 おめでと。

 そしてまたあの忌まわしい儀式、お祝いです。

ライン

 妹

 「もうええで、何も送らんでも」

 コチサ

 「そうは言ってもねぇ・・・フーに代わって」

 フー

 「フーです」

 コチサ

 「入学祝い、何がいいの?」

 フー

 「あんなぁ、頭にくるくる巻くゴムが欲しいん。東京にはええのがたくさんあるやろ」

 コチサ

 「がってんだい!」

ライン

 イラスト・・・いちご

 快諾はしたものの、髪留めのゴムなんか、さすがに送れません。

 だって数百円のものですから。

 コチサ的には楽ですが、嫁ぎ先の実家にそんなもの送られたら、妹の立場があったものじゃありません。

 ブーの時には、スヌーピーの柱時計を送ったので、今回はミッキーの目覚まし時計に決めました。

 ブーとの金額的な調整もかねて、とっとこハム太郎の腕時計もつけました。

 フーは喜んでくれるでしょうか?

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 フー

 「もしもしコチサ、ありがとう」

 コチサ

 「入学おめでとう。目覚まし使って、朝一人で起きるんだよ」

 フー

 「ありがとう」

 コチサ

 「どうしたの?あんまり元気ないね」

 フー

 「ううん、そんなことないよ」

 コチサ

 「そう。じゃぁ、またお正月に会おうね」

 フー

 「あっ、待ってぇ・・・」

 コチサ

 「ん?どしたの?」

 フー

 「あんなぁ・・・頭にくるくる巻くゴムはなぁ、また送ってくれるん?」

 コチサ

 「ゴ、ゴム?」

 フー

 「うん、ゴム。フーな、目覚まし時計も嬉しいけどなぁ・・・本当はなぁ・・・コチサが頭にくるくる巻くゴムをなぁ、送ってくれるの楽しみに待ってたん」

 コチサ

 「・・・そ、そっか・・・」

 フー

 「送ってくれるん?」

 コチサ

 「あ、あたり前でしょ。今回の目覚まし時計は先ず第一弾だよ。本命はゴムだよ、ゴム。もう少し待っててね」

 フー

 「ほんまか!ありがとうな。ありがとうな。フーはコチサが大好きやで」

 コチサ

 「コチサもフーが好きだよ」

ライン

 イラスト・・・さくら

 金額的な問題・・・

 妹の立場・・・

 そんなものは、フーにとっては意味の無いものだったようです。

 東京でしか売ってない(と本人が勝手に思っている)ゴムの髪留めをして、小学校に行きたい。

 それだけが希望だったし、望みだったのです。

 目覚まし時計を買って、姉のブーに送った時と金額をあわせるために腕時計もつける・・・

 そういう帳尻合わせも、もちろん家対家、社会人対社会人として必要です。

 でも、本当にフーの気持ちを考える事が出来ていたら、合わせてゴムの髪留めも送ることは出来たと思いました。

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 妹

 「ぎょうさん、髪留め送ってくれてありがとうな」

 コチサ

 「あっ、着いた?たくさん買ったから、ブーと分けて使ってね」

 妹

 「ありがとうな、高かったんと違う?4桁いったんやないの」

 コチサ

 「4桁?当たり前じゃん。そんな4桁で驚かないでよ」

 妹

 「いや、姉ちゃんが4桁出すなんて、お母さん聞いたら腰抜かすで」

 コチサ

 「じゃ、じゃぁ、と、時計はどうなのよ。ブーの時もフーの時も5桁だよ。腰どころか魂抜けちゃうじゃない」

 妹

 「だって、あれはポイントカードとかいうのん使こうたんやろ」

 コチサ

 「な、何それ?」

 妹

 「お母さん言っとったで。ポイントカードいうのがあって、サチコは人の買い物したりして、それを貯めとるらしい。毎回時計を送ってくるんは、それを使うてるからやって」

 コチサ

 「な、なんで、そんな事を・・・お母さんが知ってるわけないじゃない・・・だれがそんな根も葉もないことを・・・」

 妹

 「今年の正月にサチコが自慢げに話しとったって言ってたけどな・・・」

 コチサ

 「うっ、(そう言えば)」

 妹

 「まぁ、なんでもええわ。フーがすごい喜んでな。今、手紙を書いてるところや。待っとってや」

ライン

 イラスト・・・チューリップ

 嬉しいやら、情けないやら・・・

 でも、喜んでくれて良かった。

 とりあえずコチサは、フーの手紙を楽しみに待つことにします。



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