No.271「ラ・ファミーユ・モラレス!」  2002.10.30

 写真・・・「ラ・ファミーユ・モラレス」パンフレットより1

 「ラ・ファミーユ・モラレス初来日公演」にお誘いをいただき喜んで見に行かせていただきました。

 ラ・ファミーユ・モラレス・・・

 その名の通り「モラレス一家」というフランスのサーカス一家の公演です。

 お母さんは、空中ブランコを始めとする空中曲芸。

 息子は、着ぐるみを着てタップを踏むピエロ。

 旅の途中に出会ったサーカス人は、オートバイ曲芸やジャグリング・・・

 世界中を旅する家族とその仲間たちが、思い思いの芸で会場を沸かせます。

 一座を取り仕切るお父さんがMCをしていましたが、このお父さんにあまり芸が無かったのが結構ご愛嬌です。

 会場作りや演出もとっても庶民的で、低い木の切り株に座ってくつろぐ感じのスタイルで、椅子も無ければ開演ベルもありません。

 モラレスさんの家にやって来て、家族の方たちとお話をして楽しんでまた帰って行くというイメージです。

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 コチサ

 「実はコチサが以前やった一人芝居でも、こういう演出を考えていたんですけど、結局はありがちなものに落ち着いたんですよ」

 コチサ芸域拡大委員会会長

 「まぁ、センスとか感性とか様々ですからね。ここは庶民性を押し出してこうなったのでしょう」

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 写真・・・「ラ・ファミーユ・モラレス」パンフレットより2

 庶民性・・・

 このモラレス一家のサーカスは確かにその庶民性やくつろぎ、安らぎがテーマになっています。

 一昨年鑑賞した「サルティンバンコ」や、来年2月に見に行く予定の「キダム」の完璧な芸とは対極にあるサーカスです。

 事実、ジャグリングなどは結構失敗しています。

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 会長

 「あれならコチサさんも出来るんじゃないんですか?」

 コチサ

 「いやーなかなか・・・失敗したとしてもやはり練習の量と質が断然違いますから」

 会長

 「でも落とすのは演出じゃないすよね」

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 写真・・・「ラ・ファミーユ・モラレス」パンフレットより3

 確かに落とすのは演出ではないのですが、モラレス一家ではその事に大きなポイントを置いていないのは明白です。

 この一家にとっては、全ステージを通した中での日常が大きなテーマです。

 例えば・・・

 「家族が食卓に集まって、お母さんが腕によりをかけた食事を美味しく食べる」

 そんな事がテーマになっています。

 だから、例えお母さんが食卓に食事を運ぶ時、ちょっとスープがこぼれたとか、息子が食事を食べる時スプーンを落としたとかは、食事の美味しさには何の影響も与えません。

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 会長

 「・・・なるほどね・・・」

 コチサ

 「サルティンバンコなんかは、食事の美味しさはもとより、その食事を食べるマナーにまで気を配るものです。だからスープがこぼれるとかスプーンを落とすなんて事は許されないのです」

 会長

 「まさに高級レストランと下町の家庭での食事との違いですね」

 コチサ

 「そうです。でもどちらの食事もとても美味しくて大満足があります」

 会長

 「・・・なるほどね、解りやすい面白い比喩です」

 コチサ

 「しかし会長、比喩ではいくら食事の話をしても、本当のお腹に貯まることはありません」

 会長

 「なるほどね・・・そういうオチですか」

ライン

 写真・・・土佐料理「ねぼけ」

 そして一時間後、土佐料理に舌鼓を打つコチサの姿が・・・

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 コチサ

 「はー、満腹です。ご馳走様でした。いつもありがとうございます」

 会長

 「ところでコチサさん、コチサさんのジャグリングはさっきの比喩で言うと何に当たるんですか。インスタントの家庭料理ってとこですかね?」

 コチサ

 「失敬だな・・・でもまぁそこまでも行かない・・・おままごとの砂のご飯ってところかな」

 会長

 「それでも美味しい気分の満足感が与えられれば立派なプロですよね」

 コチサ

 「でもなぁ、今時子供でさえ、おままごとのご飯を喜ぶなんてないだろうなぁ」

 会長

 「練習あるのみですね」

 コチサ

 「はい!・・・それと、目の鍛錬ももっと必要ですね」

 会長

 「それって・・・まさか・・・」

 コチサ

 「はい、そういうことです。今後ともよろしく(^^ゞ」

 会長

 「さすがコチサ・・・何があっても絶対にただでは起き上がらない・・・その点に関しては大物か・・・」


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