電車の中でおもむろに携帯電話を取り出す女子高生・・・ 「またか」と車内の人たちは顔をひそめます。 案の定、大きな声が響き渡りました。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 女子高生 「あっ、今電車の中・・・元気?、こっちは元気だよ・・・大丈夫だよ、そんな気にしなくたって、電車の中だって誰も気にしないよ・・・」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 「気にしてるって!」 多分、みんなが突っ込みを入れたかったと思います。 女子高生 「それでどうなの?調子は?病院行ってきた?そうやっぱり神経痛なの・・・じゃぁゆっくり安静にしてなくちゃだめだよ。おばあちゃん腰が痛いからって言えば、田んぼの仕事はヤスおじちゃんが全部やってくれるでしょ・・・」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 相変わらず大きな声ですが、電車の中の空気が少し変わった気がしました。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 女子高生 「学校?うん行ってるけど、あんましちゃんとじゃないかな。えー・・・親が厳しすぎたからこんなになっちゃったんだよ・・・でもそれがわからないんだよね・・・今日も駅降りるとちゃんと迎えの車が来てるんだ」 女子高生 「私の事はいいから、おばあちゃん体元気にしなくちゃだめだよ・・・今度の休み、友達と遊びに行くって言ってあるから、遊びに行くね・・・大丈夫だよ、電車でたった2時間だよ」 女子高生 「えーいらないよ。何にも用意しなくていいよ。ダイエットしてるからそんないろいろあっても食べないから・・・それよりケーキ買って持ってくよ。この前、美味しいっていってたやつ・・・」 この女の子のご両親とおばあちゃんはあんまり仲が良くないのかな? 電車を降りれば迎えが来てるし、この女の子がおばあちゃんに電話をかけられるのは電車の中しかないのかな? この女の子はおばあちゃんが大好きなんだな? 車両の中は多くの人の暖かい想像力で満たされた気がしました。 険しそうな顔をしていた人たちが、暖かな笑みさえ浮かべています。 コチサもいろんな事を考えました・・・ 見た感じや話し方は、今風のちょっと怖い女の子でしたが、この女の子のおばあちゃんを思う気持ちを感じた時、携帯電話の大声が嫌な感じではなく聞こえるようになりました。 でも、やっぱり車内放送で言われているように、心臓のペースメーカーをつけている人もいるかもしれません。 コチサは、早くこの女の子が遠慮しないで自分の家からおばあちゃんにじゃんじゃん電話できるようになればいいなと思いました。 女子高生 「・・・あっ、駅についちゃった、じゃぁねおばあちゃん、日曜にね」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 女の子は、さぁっと短いスカートの裾を翻すと、風のように爽やかに扉を飛び出して行きました。 車内の人たちは、その清々しい風に心地良い気分を味わっているようです。 コチサは残念なことが一つ・・・ おばあちゃんが美味しいと言ったケーキは何処のケーキなんだろう? その答えを知りたくてうずうず・・・ |
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