No.242「砂太郎の門出!」  2002.7.17

 写真・・・電車

 最近コチサニュースに登場の機会が減っている録音砂太郎ですが、「元気でしょうか?」というご質問をいただいたので・・・

ライン

 コチサ

 「やぁ、元気?」

 砂太郎

 「はい、まぁ」

 コチサ

 「相変わらず忙しそうだね」

 砂太郎

 「えぇまぁ」

 コチサ

 「猫の手も借りたいって感じ?」

 砂太郎

 「それが・・・」

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 写真・・・花1 砂太郎は、個人オフイス「録音工芸(仮称)」を構えています。

 旧式の木造アパートを改造して環境を作ってあるのですが、コチサに言わせると足の踏み場も無い機材だらけの倉庫って感じです。

 その砂太郎が、なんとアルバイトを雇いだしたそうです。

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 コチサ

 「すごいじゃん」

 砂太郎

 「いや別に・・・録音とか編集の勉強をしたいっていう人間を紹介されたので、じゃぁ暫くやってみればって感じで・・・」

 コチサ

 「あの部屋に通ってるの?」

 砂太郎

 「えぇ」

 コチサ

 「毎日ちゃんと来てるの?」

 砂太郎

 「えぇ」

 コチサ

 「ふーん」

 砂太郎

 「・・・」

ライン

 写真・・・花2 コツコツコツコツ・・・

 雨音が石を穿つように仕事をする砂太郎ですが、「録音工芸」の看板を掲げてもうすぐ10年、ついにアシスタントが雇える身分になったようです。

 砂太郎は、誰の師事も受けずに、何処の系列にも所属せずに、一から録音の仕事を始めました。

 機材選びから、実際の録音、編集まで、全部一人で勉強をしながらやってきました。

 その為に、実務ノウハウという点では、無駄な機材の買い込みや、基礎レベルの失敗、予定調和の段取り不足など、数々の辛酸をなめて来ました。

 特にハートクラブをはじめた頃なんか、もともと痩せてた体がみるみる骨と皮になってきていました。

 コチサは、ダメ出しが無くなるのが先か、砂太郎が倒れるのが先か、密かに賭けをしたくらいです。

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 コチサ

 「じゃぁさ、コチサもアルバイトに行ってあげようか?」

 砂太郎

 「な、何でですか?録音に興味あるんですか?」

 コチサ

 「ないよ!コチサの興味はコチサの声を上手く録ってくれることだけ」

 砂太郎

 「じゃぁ、何で、来るんですか?」

 コチサ

 「いや、アルバイト行けばお金もらえるからさ」

 砂太郎

 「でも働くんですよ」

 コチサ

 「少しならいいよ」

 砂太郎

 「じゃぁバイト料も少しですよ」

 コチサ

 「それは困るよ」

ライン

 写真・・・花3 ハートクラブの録音・編集に対して評価が上がってきた頃、ある音響制作会社から、砂太郎に効果音CDを作らないかと声がかかりました。

 砂太郎は、休みごとにエアコンの壊れた車で、全国を駆け回り、自然や街、雑踏や静寂の音を録り貯めしました。

 そのCDは思いのほか評判がよく、砂太郎は生まれて初めて印税を手にしました。

 普通の会社だったら絶対受けられないような値段でも、砂太郎は仕事を頼まれると断れません。

 そして目の奥をどんどん窪ませて仕事をこなします。

 そんな姿勢が、いつしか本当に「雨音石を穿つ」を成し遂げたのでしょう。

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 コチサ

 「じゃぁ、もう今までみたいに安い値段で砂太郎に仕事頼めないね」

 砂太郎

 「そんなことないですよ」

 コチサ

 「社長に言っておくね、これからは気をつけるようにって・・・」

 砂太郎

 「そ、そんなぁ、やめて下さい」

 コチサ

 「もう今までの砂太郎と思ったら大間違いだぞって、ガツンと言っておくよ」

 砂太郎

 「誰もそんなこと言ってませんよ。お願いだからやめてくださいよ」

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 写真・・・花4 そして、数時間後、砂太郎のオフィスの電話が鳴ります。

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 砂太郎

 「はい、録音工芸です!」

 社長

 「ご無沙汰です」

 砂太郎

 「あぁどうも・・・」

 社長

 「益田から聞いたんですが、なんでももう安い値段で仕事を発注するなとか言われたそうで・・・」

 砂太郎

 「そ、そんなぁ・・・もうやめて下さいよぉ・・・」

ライン

 写真・・・花5 その実力が世間にいよいよ認められてきた、録音砂太郎。

 しかし相変わらず、いじめられキャラだけは変わらないようで・・・(^o^)


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