久しぶりのジャグリングの練習に出かけました。 師匠 「うまいうまい、ブランクの割にそんなに技おちてないよ」 コチサ 「ありがとうございます」 師匠 「まぁプロの域まで達すると、例え一日でも練習を怠れば、たちまち腕は鈍るけどね」 コチサ 「はい、私は素人の域ですから、ひと月ぐらいのブランクじゃ腕は鈍りません」 師匠 「まぁ鈍るほど腕が上がっていないという説もあるけどね」 コチサ 「はい、もともと腕など上がっていませんでしたから」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 何を言われても今日のコチサはへっちゃらです。 公園の屋外練習場… 木漏れ日の中にカラフルなジャグリングボールが舞い上がります。 その動きは師匠のように規則的に決まった軌道を描くことはないけれど… それでも優しい太陽は、その不規則で安定しない軌道のボールにも同じように優しい日差しを微笑みかけてくれます。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 師匠 「それだけ落としまくりながらも、笑顔だけはプロ級だね」 コチサ 「だって気持ち良いんだもん」 帰りは「コチサコリブリ号」で街を疾走します。 コンビニによってコロッケパンを買って、神田川沿いに自転車を止めてかじります。 コロッケが好きなのは、コロッケには子供の頃の家族を思い出す不思議な力があるからです。 ランドセルを背負った子供たちの通学路にもなるこの川沿いの道を、今度はゆっくりコリブリ号を押しながら家に戻ります。 手足を思いっきり伸ばしてベッドに横になります。 「あー気持ちいい!」 外の物音さえも、陽炎のように揺らめいて聞こえる昼下がり… このまま夜まで長めの昼寝をする事にしました… :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「今日からまた大道芸の練習に出てくるね」 社長 「あぁ行ってらっしゃい」 コチサ 「まぁ今日は練習再開日だから、2時過ぎには戻ると思うよ。企画書はそれから書くね」 社長 「あぁ、今日中だからよろしく」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 眠りに入る夢うつつの中で、コチサは出掛けの会話を思い出した気がしました。 「そうだ事務所を抜け出して来たんだっけ…でももう自宅に戻っちゃたし…どうしようか…」 でも、そんな事はこの眠りにつく気持ち良さに比べたらどうでもいいこと… とりあえず、「渡る世間…」の始まる9時に目が覚めていればコチサ的に困ったことは何も無いんだから… 梅雨入り前の初夏の日差しの中… 今まで通りの、いつもの風景に復活したコチサの生活。 代わり映えのしない出来事が新鮮で、幸せに感じた一日でした。 社長 「…ってきれいにまとめてるけど、企画書はどうなっちゃうだい?」 コチサ 「今まで通りの生活に戻ったんだから、あてにする方が悪いに決まってるじゃん」 |
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