ペンキの付いたコートを受け取りにクリーニング屋さんに向かいました。 (詳細はコチサニュース第200号参照です) コチサ 「ごめんください」 クリーニング屋のおばさん 「いらっしゃい。あぁペンキの・・・」 コチサ 「はい、ペンキの小僧です」 おばさん 「はい出来てるわよ。対応が早かったからちゃんと落ちてるわよ」 コチサ 「ありがとうございます。一張羅なものでどうなるものかとひやひやでした」 おばさん 「でも臭いわよね」 コチサ 「へっ?コートがですか?」 おばさん 「違うわよ」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 外壁塗装のペンキの臭いは、コチサの部屋の中ばかりか、近所の家々にも侵食していったようです。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: コチサ 「実はもう6日もお友達の家で泊まってるんです」 (さすがに事務所に泊まっているとは言えないコチサ^^;) おばさん 「そうなの?それは酷いわね」 コチサ 「部屋の中はもっと酷くて、もう吐きそうでとても住めないんです」 おばさん 「そういえば、何処の部屋も電気がついてないわね。みんな避難してるのね」 コチサ 「そうみたいですね。でも病気になるより良いですから」 おばさん 「でも家賃は払うんでしょ。全く事前に何にも連絡が無いんだから、酷いわよね。住民には連絡があったの?」 コチサ 「それが・・・」 コチサ邸マンションの外壁工事は、住民どころか近所の人たちも巻き込んでの大騒ぎになっている事をこの時初めて知りました。 コチサは思い出しました。 このマンションのオーナーが代わり、新しいオーナーの老夫婦がマンションを見学に来た時のことを・・・ これまでのいかにも商売人という感じとは違って、何処にでもいそうな普通のご夫婦でした。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 奥さん 「ねぇあなた、この退職金に貯金を合わせて、老後の為にマンションでも買いましょうよ」 旦那さん 「そうだな。この不況だ。ただ銀行に預けておいても不安が募るだけだし。なんか中古で小さく手堅く運用出来る物件はないかな」 奥さん 「そうですね。探してみましょうね」 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: そんな勝手な想像が浮かびました。 コンクリート打ちっ放しでおしゃれな外観が人気の物件だったのですが、この世代の人たちには汚く中途半端に映ったのだと思います。 そして始まった、景観にも形状にもとても似合わない、白亜の豪邸のような真っ白い塗装の外壁修理作業・・・ でもそこには、このご夫婦の「夢」があり、「美」があるのだと思いました。 コチサ 「きっと挨拶が遅れているんですよ。急に決まったんでいろいろ忙しいんじゃないでしょうか?」 クリーニング屋のおばさん 「そうなのかしらね。でもそれにしたって、ねぇ・・・」 コチサ 「家がきれいになることだし、臭いはいずれ消えます。もう暫く我慢します」 おばさん 「そうねぇ・・・文句を言ってもお互い気まずくなるだけだものねぇ」 コチサ 「後になればこれも面白い笑い話になります。ネタにも使えますし・・・」 おばさん 「ネタ?」 コチサ 「い、いえ、こっちのことで・・・」 そしてコチサはクリーニングされたコートを抱え、今日も事務所に戻りました。 事務所の社名の看板の下に貼られた、手製の「益田」の表札にも汚れが目に付きだしました。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 奥さん 「ほら真っ白で、きれいに仕上がりましたね」 旦那さん 「そうだな、真っ白だ。まるでお前の若い頃の肌のようだ」 奥さん 「嫌ですよ、あなた(*^_^*)」 旦那さん 「良いマンションになった、住んでいる人も喜んでくれるだろう」 奥さん 「そうですね、喜んでもらいたいですね」 こういう想像は、落ち込んでいる気持ちを元気にさせてくれます。 よーし! もう暫く、事務所一人合宿生活を謳歌するか。 |
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