No.146 2001.9.24
「コチサに牛を一頭食べさせる会」というのがあります。
毎月一回、コチサはおなかをすかせて、いそいそと出かけて行きます。
コチサ
「やぁやぁ、今月もお世話になります」
会長
「やぁやぁ、お待ちしておりました。早速ご注文を」
コチサ
「上カルビ、3人前・・・とりあえず」
会長
「じゃぁ、私は紹興酒を・・・」
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
暫し会食・・・
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
コチサ
「時に会長、今日ははっきりさせておきたい事が・・・」
会長
「はい、なんでしょう?」
コチサ
「コチサに牛を一頭食べさせる会、についてですが・・・」
会長
「はい?」
コチサ
「牛を一頭というのは、全ての部位をコチサに食べさせていただけるという意味での牛を一頭という事でしょうか?」
会長
「なんか、少しだけ読めてきました・・・例えば牛の体重を400キロとすれば、それを全てカルビに換算可能かということですね」
コチサ
「いや、そういうことだけじゃなくて・・・昨今は狂牛病の心配もあって、ある日『もうカルビの分担は食べきりました、今日は頭の部分です』とか言われたら困っちゃうなとか思って・・・」
会長
「それじゃ毎回、今日は何処の部位の食事会かを連絡しますよ」
コチサ
「ってことは、やっぱり、本当の意味で牛を一頭ってことだったんだぁ・・・」
会長
「冗談ですよ。牛一頭分の重さのカルビを食べていただくということですよ」
コチサ
「なんだ、そうですか、安心しました。それじゃ、まだまだカルビを美味しくいただけますね」
会長
「いかにコチサさんが大食いでも、一度に1キロ食べれば満腹でしょ。400回食べられますよ」
コチサ
「400回、400ヶ月って事は、33年ってことですね」
会長
「そういう計算は、早いですね」
コチサ
「ありがとうございます」
休日のかきいれ時の焼肉屋さんの店内。
超満員が恒例なのに、コチサたちをいれて二つのテーブルしか埋っていません。
ニュースの影響は大きいのだと思いました。
コチサ
「普通にお肉を食べている分には安心って言われているのに、お店にとっては深刻な問題になってるようですね」
会長
「風評というのが一人歩きしますからね」
コチサ
「コチサが、いつにも増してエンジン全開で食べまくることで、少しはお店のお役に立てればいいのですが・・・」
会長
「いや充分、役に立ってると思いますよ。しかしコチサさんは風評とかは全く気にならさらないんですね」
コチサ
「背に腹はかえられませんから」
会長
「・・・」
ニュースが口火を切って、風評がそれを大きく燃やして・・・
数週間前は大賑わいだった店に、あっという間に閑古鳥を泣かせてしまう。
そういう力っていうのに、いつも圧倒されてしまいます。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
お父さん
「サチコ、お米はな、一粒たりともぞんざいに扱ったらいかんのじゃ。それは人様の口に入るものじゃ、そしてわしらの生活を支えてくれているものじゃ。感謝の気持ちを込めて扱わないとな・・・わかったか?」
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
今も昔も農家の人たちは、みんなそういう気持ちで働いています。
早く、全ての人たちが安心する、明確な検査結果や今後の指標が明らかにされますように・・・
コチサ
「会長、今月もありがとうございました。満腹です。痛み入ります」
会長
「元気になっていただいて、末永くご活躍していただけるのでしたらお安い御用ですよ」
いつか活躍できる身分にならなくちゃ、こりゃただじゃ済まないよね、やっぱり・・・
|