No.123 2001.8.1
コチサランナーズクラブ「ペッパーフレンズ」の群馬支部長から・・・
支部長
「こもろ・ふれ愛ウォーク、現在参加者3000名ですよ。そろそろ申し込んだ方がいいんじゃないですか」
コチサ
「前、言ったじゃん。コチサは今回は不参加」
支部長
「どうしてですか?過去2年出場してるんですよ。3年連続参加しましょうよ」
こもろ・ふれ愛ウォーク・・・
小諸から善光寺まで、総距離62.2キロ・・・
「牛に引かれて善光寺参り」の故事にのっとってのウォークラリーです。
前回、前々回とコチサは17時間代で完歩したのですが、多くの参加者がリタイヤをする厳しい大会です。
コチサ
「だって苦しいんだもん」
支部長
「苦しいって、だからゴールに感動があるんだってコチサさん言ってたじゃないですか」
コチサ
「それは、駅伝とかマラソンだよ。徒歩ってさぁ、苦しい割に感動薄いよね」
支部長
「いや、そんな事ないですよ。私は毎回感動しますよ」
コチサ
「そりゃ、君はそうだろ」
支部長
「へっ?」
最初の年、支部長とコチサは17時間強のゴールを共に歩いたものでした。
途中、足が痛いと言っては共に休んでやり、お腹が痛いと言い出した時は、近くのガソリンスタンドに頭を下げてトイレを借りてやったものでした。
(記憶の悪い支部長に言わせれば、もしかしたら「それは反対だろ」とか言うかも知れませんが、どっちを信じるかは、もうお解りだと思います)
ところが、恩を仇で返すとはこの事・・・
2年目、支部長はコチサを置いてきぼりにして、なんとコチサより5時間も早いタイムでゴールしたのです。
午前7時にはゴールしていた支部長は、善光寺でそばを食べ、睡眠を補給しながら、ときどきコチサにメールを送っていたのです。
「もう着いたよーん」
「今どこ?おそばうまいよーん」
「リタイヤするの?」
支部長
「あれは、コチサさんを励ますために送ったんですよ。僕はコチサさんがゴールするまで何時間も善光寺の門で待っていたんですから」
コチサ
「確かに、ヘロヘロコチサが最後の坂道を上ってくる所を、石段の上から捕らえた写真をいただいたよ」
支部長
「前回、僕に負けたから今回行かないんですか?」
コチサ
「まぁね」
支部長
「コチサさんらしくないじゃないですか。前回負けたら今回はどんな汚い手を使っても雪辱を果たすのがコチサさんでしょ」
コチサ
「まぁね。でもそれがマラソンだったら、もちろん数々の追い落とし工作をするけどね。徒歩はなぁ、そういう気持ちもあんまりわかないんだよ」
支部長
「そんな・・・僕はどんな卑劣な工作を受けても良いですから、参加しましょうよ。今年は一緒にゴールまでお付き合いしますから」
電話を切って、遠い目をするコチサ。
事務所の社長が、怪訝な顔をして見ています。
そういえば、こいつもコチサの強引な勧誘で参加したんだっけ・・・
コチサ
「また今年も小諸なんだよ」
社長
「ふーん、気を付けてね」
やっぱりな・・・
こいつも行く気は全くないね。
思えば去年、コチサが思った程記録が伸びなかったのは、こいつのせいでもあります。
開始早々の20キロで不運にも肉刺(マメ)を作ったこの社長の、その後の悲惨な旅路は、多少の遅れを犠牲にしても見届ける価値のある光景でした。
他の人間だったら20キロで肉刺を作ったらリタイヤするだろうけど、性格的にこの男はそう言う事が出来る訳はない・・・
コチサの予測は当たり、その後滅多に見られないものを見させていただくことになったのです。
人間の足ってあんなになるんだ・・・
肉刺は足全体に広がり、足中に水膨れが広がります。
100発くらい殴られたボクサーの顔のような足です。
一緒に歩いた別の仲間が、珍しくて写真に撮ったくらいです。
そしてそれでも歩くものだから、水泡が破れ、靴下を突き抜け靴まで通り抜けます・・・
折からの昇り始めた太陽に水液が照らされます。
コチサ
「社長、足、臭いよ」
社長
「だったら、離れて先行けよ・・・こっちは一歩一歩が剣山の上を歩いているみたいに激痛なんだから」
コチサ
「ふーん・・・足、あとどのくらい腫れるかね」
社長
「・・・」
コチサ
「社長は、今年は行かないの?群馬チーム、誘ってたよ」
社長
「丁重にお断りしといてくれ」
近づく、こもろ・ふれ愛ウォーク・・・
もう申込みを済ませた群馬支部長と、さっさと不参加を表明した事務所の社長。
さぁコチサはどうでるか・・・
こもろ・ふれ愛ウォーク、参加者5000名定員まで、あと2000名。
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