No.116 2001.7.16
弟の浩二の、小学校の作文です。
「ぼくのおねえちゃん」
ぼくのおねえちゃんは、ずるいです。
お父さんとお母さんは、「へらこい」といいます。
・・・おいおい、本当にこんな作文書いたのか・・・
そういえば、子供の頃・・・
昼さがり、お母さんは「とんがりコーン」をおやつに一箱くれました。
お茶の間で、お膳に座ってテレビを見ている3人姉弟(コチサ、園子、浩二)の前に「とんがりコーン」が一箱・・・
コチサ
「これ、みんなが美味しく食べられるようにちゃんと分けような」
園子、浩二
「うん!」
「とんがりコーン」の袋をあけて中身をバラバラにするコチサ・・・
二人を横一列に並ばせて、真ん中にコチサが入ります。
コチサ
「じゃぁ、いくで・・・いいか順番やでぇ。ええか、汽車と一緒やで、駅についたら「とんがりコーン」の切符がもらえるんや、わかったか」
浩二
「うん、わかった。駅と一緒なんだね・・・面白いね」
コチサ
「そや、面白いで。先ずは一番年上やからお姉ちゃんの真ん中の駅から出発や、じゃぁお姉ちゃんにとんがりコーンを一個おくで。次は園子や、右側に汽車はしゅっぱぁーつ、はい園子駅終点でーす。はい「とんがりコーン」一個」
浩二
「(ごくっ)次は僕やな、早よ来い、汽車汽車シュッポシュッポ、シュッポッポ♪」
コチサ
「汽車は終点になったので戻りまーす、次はぁーお姉ちゃん駅、お姉ちゃん駅ぃ〜、はい「とんがりコーン」一つ」
浩二
「?」
コチサ
「続いて、浩二駅、浩二駅ぃ〜、はい「とんがりコーン」一つぅ」
浩二
「うぁーい、やったぁ〜」
そして汽車はまた、園子駅に向かって進みます。
しかし、このままだと、コチサの前の「とんがりコーン」の山が明らかに大きくなってしまって、不正が発覚する恐れがあります。
コチサ
「汽車が走っている間も、お腹が減るから、自分の前の「とんがりコーン」は食べてもええ事にしよな」
浩二
「うん!、そうしよう、お姉ちゃん頭ええなぁ」
そして・・・
コチサ
「はい、汽車は浩二駅で終点でぇーす。「とんがりコーン」は無くなりました。良かったな、みんな美味しく食べたか?」
浩二
「うん、美味しかったでぇ・・・汽車も面白かった、お姉ちゃん、またやってな」
コチサ
「うん、いつでもやってあげるで」
ここまで一言も発せず、ただ黙々と食べていた園子が立ち上がりました。
コチサ
「(ギクッ)ん?どうしたん?」
園子
「別に・・・」
部屋を出てかけていく、園子。
まるで野生のサルのように、身の危険が差し迫ったことを感じたコチサは、別な方向から脱出を図ります・・・
しかし、時、既に遅し
一方の入口からは、園子の密告を受けたお母さんが・・・
コチサが脱出を試みた方からは、先回りをしたお父さんが・・・
万事休す。
お母さん
「サチコ、お前はまたへらこい事をして、妹弟を騙して・・・」
お父さん
「なんでこんなに、こずるい娘が生まれたんかのぉ」
コチサ
「園子、お前、もう遊んでやらんからな」
園子
「いーもん」
お父さん
「サチコ、こっちへ来い、物置に入れちゃる」
コチサ
「うわぁーん、ごめんなさーい!!!!!」
浩二
「どうしたん?、お姉ちゃん、みんなに「とんがりコーン」を分けてくれたのに、何で?どうして?」
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