コチサニュース No.113 2001.7.9

 ネタがなくなった時は・・・

 そう砂太郎。

 砂太郎の車に乗っていれば面白い事が起こるんじゃないか・・・

 そして砂太郎は決して期待を裏切りません。

 七夕イベントの録音が終わって、事務所までの移動中でした。



 コチサ

 「ねぇ、何かお酒臭くない?」

 砂太郎

 「七夕で、誰かお酒でも飲んでるんですかね」

 コチサ

 「きっと、前の車だよ、抜いちゃえ抜いちゃえ」



 ビューと飛ばす砂太郎の新車。

 そしてこれが火に油を注ぐ加速であることは、この時まだ誰も気が付いていません。



 コチサ

 「ねぇまだ臭いね」

 砂太郎

 「ホント、変ですね」

 コチサ

 「きっと通り全体がお酒臭いんだよ、飛ばせ飛ばせ」



 再び加速する砂太郎号。

 そして大通りへ・・・



 コチサ

 「やっと臭いも消えたね」

 砂太郎

 「えぇ、良かったですね。はい、着きましたよ」

 コチサ

 「ありがとう・・・ん?・・・ねぇあれなぁに?」



 車から降りようと思ったコチサが前を見ると、なんか煙が出ています。

 いつもは、ゆっくり決して慌てない砂太郎が、この時ほど機敏に動いたのをはじめて見ました。

 飛んで行ってボンネットをあけると、浦島太郎の玉手箱のように煙がモクモク・・・

 その煙が消えたとき、砂太郎の顔はおじいさんになっているんじゃないかと心配したくらいです。

 しかし、煙の先から浮き上がってきた顔は、普段より一層青ざめた砂太郎の顔でした。

 一応、心配そうに(本当はこれは面白いことになってきたぞと)歩み寄るコチサ。



 コチサ

 「んーお酒臭ーい。なんだ、あのお酒臭い犯人はこの車だったんだね」

 砂太郎

 「・・・(呆然)

 車からは緑色の液が噴出しています。

 コチサ

 「この車、酔っ払ったの?」

 砂太郎

 「いや、少しここで涼ませてくれれば大丈夫かと思います」

 コチサ

 「でも、炎天下だしね。なかなか涼まないよ。乗って帰った方がいいんじゃない?」

 砂太郎

 「いや、このままじゃ走らないんで・・・」

 コチサ

 「ふーん、車も酔い冷ましするんだね」

 砂太郎

 「あのー、雑巾かなんか貸していただけます」

 コチサ

 「えー、まいっか」



 何で「えー」なのか「ま、いっか」なのかわからないけど、しぶしぶ事務所のタオルを貸すコチサ。

 「ありがとうございます」と言ってせっせと車を拭く砂太郎。

 15分後・・・



 砂太郎

 「多分、もう走ると思いますので失礼します」

 コチサ

 「なんで新車がこうなるんだろうね」

 砂太郎

 「わかりません」

 コチサ

 「ねぇ、やっぱり自分はとことん運の無い人間だとかって思う?」

 砂太郎

 「いや、もう慣れてます」

 コチサ

 「暫く修理に出すの?」

 砂太郎

 「いや、明日も仕事ですし、車無いわけにいかないんで・・・」

 コチサ

 「前みたいに、リヤカーでいいじゃん」

 砂太郎

 「いや、明日のは結構距離があるんで・・・」

 コチサ

 「早起きすれば大丈夫だよ」

 砂太郎

 「・・・とりあえず、失礼します。今日はお疲れ様でした」



 なんか、パコンパコンとか言いながら走っていく砂太郎号の後姿を見送るコチサ。

 そう言えば、あの車まだ買って1月ちょっとでしょ。

 一週間目で、へこませて・・・

 2週間目には、落ち葉をかぶってもう輝きは失せて・・・

 3週間目には、もう定番の猫の足跡や側面の擦り傷・・・

 ここまでは、過去の車も辿った道だからコチサも驚きはしなかったけど、まさか煙を噴くとはなぁー

 山手通りをパコンパコン走っていた砂太郎号が、もう直ぐコチサの視界から消え去ろうとしたその時、再び白いもやに覆われた砂太郎号が停止しました。

 そして、慌てて飛び出だしてくるドライバー砂太郎・・・



 とりあえずコチサは、その光景はコチサの視界から消えたところで起こった事と思い込むことにして、事務所に戻りました。

 コチサ

 「お疲れ様でした。只今戻りました。無事録音も終了しました。全て問題無しです!」


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