コチサニュース No.103 2001.6.15

 取材という事で、川崎市にある「日本民家園」というところに出かけて来ました。

 「急速に消滅しつつある古民家を長く将来に残すことを目的に、昭和42年に開演した古民家の野外博物館」だそうです。

 日本各地から24の民家が運ばれ、展示されています。

 家の中に入って、当時を偲んだり、感じたりすることが出来ます。



 担当

 「どうですか?」

 コチサ

 「素晴らしいですね、威風堂々、歴史を感じます」

 担当

 「そうですか、ありがとうございます。どこか特に気に入った民家はありますか?」

 コチサ

 「へっ?えぇ、そうですね。南国で育ったコチサには、北国の合掌造りに奇異な特異性を見つけました(ほっ)」

 担当

 「素晴らしいお言葉ですね。いつもこうして取材される前には、勉強をされてから来るのですか?」

 コチサ

 「当然です。取材者としての心得です」



 ・・・と適当に思いつく限りの言葉を並べて、その場を切り抜けます。

 まぁメモを取ったけど、基本的は同行のスタッフがうまくまとめてくれるさ。

 そして家に戻ったコチサは早速・・・



 コチサ

 「もしもし、お母さん」

 お母さん

 「なんやサチコか、どしたんや、あわてて」

 コチサ

 「あのさ、壊しちゃった家、まだある?」



 そうです、すでにコチサニュースでお伝えしたように、コチサの実家は、数百年の歴史ある家を建て替え新築したのです。



 お母さん

 「壊した家があるわけないやろ」

 コチサ

 「あのね、今日、日本民家園って言うところに行ったんだけど、古い家が展示してあるんだ」

 お母さん

 「それで・・・」

 コチサ

 「何か古いんだよ」

 お母さん

 「あたりまえやろ」

 コチサ

 「なんか、昔のコチサの家のような匂いがするんだよ」

 お母さん

 「まぁ、前の家も古かったからな」

 コチサ

 「なんかね、古い家って歴史なんだよ・・・とっておけば日本民家園に展示されるかもしれないって思って・・・」

 お母さん

 「とってあるわけないやろ・・・お前も、家壊したところ見たやろ」

 コチサ

 「そうなんだけどね・・・」

 お母さん

 「また、しょーもないこと考えたんやろ」

 コチサ

 「へっ?」

 お母さん

 「古い家がもしかしたら、たこう売れるなんて思ったんやないんか?」

 コチサ

 「そんなぁ失敬だな」

 お母さん

 「当たりのようやな、ほんまにせこいなぁ」

 コチサ

 「で、でもね。本当に古い家が展示されているんだよ。コチサ、カッコつけて、歴史の佇まいを感じさせますねなんて言っちゃったけど、本当は、なんだ昔のうちの家と一緒だよって思ったんだよ」

 お母さん

 「それでも展示されているのはな、きっと大きな由緒ある家なんよ。家とは似ても似つかん。ただ木が古いだけで同じなんて言うたら失礼や」

 コチサ

 「でもね・・・」

 お母さん

 「そういう家は、時間が経てば経つほど立派になっていくんよ。うちみたいな家は時間が経てば経つほど壊れていくんよ。だから建替えたんやないの」

 コチサ

 「でも木の匂いが・・・」



 大きな立派な家でも、小さな古い家でも、同じ木の匂いがする。

 もしかしたらそれは木の匂いじゃなくて、家族が幸せに過ごした生活の匂いかも知れない。

 だから、大きくても小さくても、歴史のある家は同じ匂いがするのかもしれない。

 そこにはたくさんの家族の喜びや悲しみ、生活があったから。

 相変わらず、せこい下心をお母さんに読まれてしまったコチサだけど、家の匂いに気がつくことが出来て良かったと思いました。



 コチサ

 「お母さん、新しい家も、これから少しずつ、少しずつ、匂いをつけていこうね」

 お母さん

 「そうやな」

 コチサ

 「今年は年末少し長めに帰ろうかな」

 お母さん

 「いつも通りでええよ」



 ちぇっ!


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