コチサニュース No.82 2001.4.23

 去年の9月に、結婚式の司会をさせていただいたお二人が上京して来られたので、思い出話の食事会をしました。

 去年の結婚式では、MCだけでなく式全体のプロデュースを任せていただき、コチサ自身も楽しく想いでに残るものとなっていました。



 コチサ

「やぁ!」

 岩ちゃん(夫)

「どうも、コチサさん、その節は・・・」

 コチサ

「ゴールデンウィーク前のバカンスですか?」

 岩ちゃん(妻)

「両親がね、ちょうど森さんの桜を見る会に招待されたんで、一緒に上京して来たんですよ」

 コチサ

「森さんって東京のお友だち?」

 岩ちゃん(夫)

「いやあの、総理の・・・」



 ・・・おいおい、コチサそんな大物の家系のご子孫の結婚式のプロデュースをしてしまったのか・・・

 急に口調が改まるコチサ・・・



 コチサ

「そういえば、式の祝電でも、県知事とか副知事とかありましたよね」

 岩ちゃん(妻)

「お色直しの時だから、知らないですけど・・・」

 コチサ

「時にご両親様は、いかがお過ごしで・・・?」

 岩ちゃん(夫)

「コチサさん、最初の「やぁ!」という元気いっぱいの挨拶に比べて、態度が変わってますけど?」

 コチサ

「そりゃそうだよ、コチサは権威権力にめっぽう弱いからね」

 岩ちゃん(夫妻)

「・・・・・」



 そうこうしているうちに、食事が運ばれてきました。

 ロシア料理だい・・・

 料理はさておき、お客さんはやっぱりロシア人が多い・・・

 ロシア人の女性ってどうしてあんなにスタイルが良いんだろう・・・

 一緒に並ぶと、コチサにはおへそしか見えないよ。



 コチサ

「時に、新婚生活はいかがなものですか?」

 岩ちゃん(夫)

「おかげさまで、楽しく過ごさせていただいています」

 岩ちゃん(妻)

「親に、おまえはいつ嫁に行くんだと、せっつかれなくなったのも嬉しいことの一つです」



 わかる、わかる、その気持ち。

 まぁ、最近は、コチサも何にも言われなくなったけどね。

 「世界のMCになる」という強引な寄り切りだね。

 そして話しは、

 新婚旅行のイタリア12泊の話し・・・

 ご両親が招待されたという、森総理と桜を見る会の話し・・・

 今日コチサと会う前には美術館めぐりをされたという話し・・・

 なんか、コチサには別世界の時間が過ぎます。



 「かーちゃん、お水持って来たでぇー」

 幼稚園の頃、田圃の畦道を走って農作業する両親に、やかんの水を届けた娘が今、ロシア料理を食べながらこんな会話をしてるんだぞ・・・

 香川の田舎で、田圃を守る母親が見たら、腰を抜かすね、きっと・・・



 コチサ

「でも、よくあれだよね・・・特に名古屋とか格式がうるさいっていうじゃない・・・よくご両親が、コチサになんか結婚式のプロデュース任せたね・・・」

 コチサの一言から話しは思わぬ展開を見せます。

 岩ちゃん(妻)

「結婚式の話しになったとき彼がね、何でも好きにして良いけど一つだけ、どうしてもお願いしたいことがあるって言ったんですよ。司会だけはお願いしたい人を決めている、それだけはボクの好きにさせて下さいって・・・本当に今まで自由にさせてくれたのに、それだけは固い決心で・・・それで私も、それだったら全部をお願いしちゃいましょうって・・・」

 コチサは知らなかったけど、そこからが大変だったそう・・・

 地域の豪華な結婚式の習慣を知っている人なら想像がつきそうな出来事が、大きな圧力となって二人にふりかかって来ました。

 まぁそうだよね・・・

 地域の伝統を無視して、全てを「どこの馬の骨かわからない」コチサに託そうとしたんだから・・・

 岩ちゃん夫妻は、「コチサプロデュース(まぁ正確にはコチサチームプロデュースだね)」実現の為、それこそ命がけの東奔西走を続けたそう・・・

 その頃そんな事を全く知らないコチサは、呑気に外郎売りの発声練習とかしてたんだね・・・

 幸いな事に、最初に理解を示してくれたのが、双方の両親だった。

 全てを飲み込み、「お前たちの好きなようにな」と言ってくれた。

 子供が生まれた時から、この日を夢見て、苦労を乗り越えて来たかもしれない。

 何百万、何千万かけても惜しくないお金を密かに用意してたかも知れない・・・

 でも子供たちが用意した自分たちの結婚式に賛成をしてくれた・・・



 そういえば、今になって思い出す言葉があります。

 式が終わった後、ご両親に言われた言葉です。

「私は、仕事や立場上、数限りない多くの結婚式に出ました・・・そんな中で、今日の結婚式は一番良かった。子供の結婚式という分を差し引いても良かったです、ありがとうございました」

 言われた時も嬉しかったけど、まぁ幾分の社交辞令もあってと受けとめていました。

 でも、今回いろんな裏話を聞いて、その言葉が涙が出るくらい有り難いものだとわかりました。

「子供の結婚式に満足にお金を出して上げられなくて」という親の嘆きを聞くことがあります。

 そんな時は、

「そんなことは無いです、素晴らしい結婚式でしたよ」

 と言葉を返します。

 でも、

「出すお金があるのに、それを出すことを飲み込む・・・我慢する親の愛情」というのを今回初めて理解しました。

 それもまた、なかなか出来ることではない・・・

 世間を生きぬいて来た両親と、新たな世間に挑戦する子供たち・・・

 今回の結婚式の裏には、壮大なドラマがあったようです。



 でも、それが感動ドラマにならずに、まぬけなコメディになってしまうのは訳があります。

 子供の意志を尊重して、世間の風の衝立になって子供達を守っ立派な両親。

 そして自分たちの未来のために、決死の覚悟で意志を貫き通した若い二人。

 そんなドラマの中で、開かれた玉手箱から出てきた、必殺のアイテムが、世界のMCコチサじゃぁなぁ・・・

「やぁ、皆さん、こんにちはぁ・・・本日の司会進行を務めさせていただくのは、1、2、2、1(マイクをゴン!)痛てぇ、射手座のコチサです」

 これじゃぁなぁ・・・



 岩ちゃん(妻)

「両親はね、今でも時々結婚式のビデオを見てるんです。とっても気にいったらしいんですよ。ありがとうございました」

 照れるぜ・・・


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