コチサニュース No.70 2001.3.26

 音響の砂太郎が、財布を無くしました。

 録音をしてスタジオからの帰り、コチサを車で事務所まで送ってのことだそうです。

 砂太郎の財布は、布袋にヒモの付いた、小学生の落し物袋のような財布です。

 普段はいかにもその財布に相応の金額しか入っていないのですが、その日に限って、支払いの為10万円を越えるお金が入っていたそうです。

 第一報を伝えてきた電話の声はさすがに元気がありません。



 砂太郎

 「あのー、昨日コチサさんをお送りする時、ボクが財布をどこに置いたか覚えていませんか?」

 コチサ

 「えー?、そんなの知るわけないじゃん」

 砂太郎

 「そうですよね・・・あの時、途中でコチサさんお腹減ったとか言ってコンビ二寄りましたよね、その時財布を使ったんですけど・・・」

 コチサ

 「あぁ、昨日はおせんべいごちそうさま」

 砂太郎

 「い、いやそうじゃなくて、その時、財布をどこに置いたかなんですけど・・・」

 コチサ

 「知るわけないじゃん」

 砂太郎

 「そうですよね・・・」

 コチサ

 「車の中に無いの?」

 砂太郎

 「えぇ・・・じゃぁもう一度捜してみます」



 事務所の電話を切って、コチサはその話を、かつてあごが外れた社長に話します。



 社長

 「ふーん、じゃぁ砂太郎は、そのコンビニの時、財布を出しただけなんだ」

 コチサ

 「うん、後は車の中にいただけ」

 社長

 「ふーん」



 社長の目がきらりと光ります



 コチサ

 「な、何?そ、その目?」

 社長

 「別に・・・で、砂太郎はコチサに、何か覚えてませんか?って電話してきたんだ」

 コチサ

 「そ、そうだよ、だから覚えてるわけないじゃんって言っといたよ」

 社長

 「ふーん」

 コチサ

 「だ、だから、何、その目?」

 社長

 「いや、状況を聞けば聞くほど、なぁ」

 コチサ

 「何よ?」

 社長

 「状況は究めて不利だな・・・」

 コチサ

 「何が?」

 社長

 「ところで、良い服だな」

 コチサ

 「えっ?」

 社長

 「靴も新品だな」

 コチサ

 「ちょ、ちょっと、それってもしかしてコチサが犯人てこと?冗談じゃないよ」

 社長

 「日頃の行いが何故大切か、こう言う時に現れるんだよ」

 コチサ

 「こういう時ってどういう時よ?」

 社長

 「別に・・・おっ、シャツも新品かぁ?」

 コチサ

 「だからぁ・・・」



 まぁくだらない濡れ衣はほっといたものの、やはり10万円という大金が気になって連絡は入れてみたものの、見つからない様子。



 砂太郎

「仕方ないけど、最初から無かったものとあきらめます」

 コチサ

「・・・(可哀想なやつ)・・・」



 ところが・・・



 砂太郎

 「あの、財布見つかりました!」

 コチサ

 「そう、そりゃよござんした」

 砂太郎

 「やっぱり落としたらしくて、拾ってくれた人から連絡があって、さっきもらって来ました」

 コチサ

 「お金も戻ったの?」

 砂太郎

 「はい、おかげさまで」



 今度はコチサの目が光ります。



 コチサ

 「あのさぁ、最初から無かったものとあきらめたんじゃなかったっけ?」

 砂太郎

 「えぇ、でも見つかりましたから」

 コチサ

 「いったん諦めたものを、男らしくないぞ」

 砂太郎

 「へっ?」



 そして・・・



 コチサ

 「すいませーん、上カルビもう一人前」

 社長

 「骨付きも、追加ね、・・・どうした砂太郎?どんどん食べないと・・・」

 砂太郎

 「えぇ・・・」



 このチームワークから、良い作品が生まれてくんだ、きっと・・・


<BACK NEXT>